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34分前

【投資と税金】相続後に上場株式を売却 特例で税負担を減らせる?

相続で残された財産には、現金や不動産のほかに、上場株式が含まれている場合もあると思います。無事に遺産分割協議がまとまり、上場株式を取得しても、それを売却し譲渡所得が発生した場合には、所得税・住民税がかかります。しかし、相続で取得した株式を売却した場合、税金負担が軽くなる特例があると聞きました。その特例について、大手町トラストの税理士に伺いました。 (注)画像はイメージです。 はじめに 上場株式を売却した場合の譲渡所得の金額は、通常、売却金額から取得価額と売却手数料等の譲渡費用を差し引いて計算しますが、相続により取得した上場株式を売却する場合は、取得価額の取り扱いが下記のようになります。 相続した上場株式を売却した場合の取得価額 相続により取得した財産を売却した場合、その財産の取得価額は相続時の時価ではなく、被相続人の取得価額を引継ぎます。なお、非課税口座(NISA)に受け入れられていた上場株式等が相続により払い出された場合は、原則として、相続開始日の終値に相当する金額が取得価額となります。被相続人の取得費が分からない場合は、同一銘柄の株式ごとに、売却代金の5%相当額を取得費とすることも認められています。 上場株式等の取得価額の確認方法 ① 証券会社などの金融商品取引業者等から送られてくる取引報告書で確認取引内容は、取引報告書のほか、金融商品取引業者等が交付する取引残高報告書、月次報告書、受渡計算書などで確認できる場合があります。 ② 取引した金融商品取引業者等の「顧客勘定元帳」で確認過去10年以内に購入した金融商品は、その金融商品取引業者等で確認可能です。 ③ ご自身の手控えで確認取得価額が日記帳や手控えで分かる場合はその額を使用し、取得時期のみ分かる場合はその時期を基に算定可能です。 ④ ①~③で確認できない場合名義書換日を調べて取得時期を特定し、その時期の相場を基に取得価額を算定できます。例えば、発行会社の株主名簿・複本・株式異動証明書などの資料(④’)を手がかりに株式等の取得時期(名義書換時期)を把握し、その時期の相場(④”)を基にして取得費(取得価額)を計算することができます。※④’ 株券電子化後、手元に残った株券の裏面で確認可能 相続税の取得費加算の特例  相続により取得した財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内、すなわち相続開始日の翌日から3年10ヶ月以内に売却した場合には、その売却した人が負担した相続税のうち一定金額を取得費に加算して譲渡所得の計算を行うことができます。「相続税の取得費加算の特例」と呼ばれ、譲渡所得にかかる税負担を減らすことができます。 ※この特例は譲渡所得のみに適用されるため、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については適用できません。 取得費加算額の計算式 取得費に加算する相続税額は、次の算式で計算した金額となります。 ただし、その金額がこの特例を適用しないで計算した譲渡益の金額を超える場合は、その譲渡益相当額となります。 なお、譲渡した財産ごとに計算します。 相続により取得した株式と同一銘柄の株式を保有している場合において、取得費加算の特例適用対象期間内にその株式の一部を譲渡したときには、その譲渡については、その相続により取得した株式の譲渡からなるものとしてこの特例を適用することができます。 手続き 相続税の取得費加算の特例を適用するには下記の書類を添付して確定申告をすることが必要です。 ① 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書② 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書 まとめ 相続税の取得費加算の特例が適用されるには、相続税を納めていることが前提となります。 相続した株式の内容を精査した上で、株を売却する場合は特例の適用期限を考慮し、早めに税理士に相談するなど対応されるとよいでしょう。 この資料は情報提供を唯一の目的としたもので、投資勧誘を目的として作成したものではありません。この資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、野村證券は、その正確性および完全性に関して責任を負うものではありません。この情報は、ご覧いただいたお客様限りでご利用いただくようお願いいたします。詳しくは、所轄税務署または顧問税理士等にご確認ください。 ご投資にあたっての注意点

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