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08/08 16:07
【野村の夕解説】日経平均株価、落ち着きどころを模索し258円安(8/8)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 本日の日経平均株価は米国株安の流れを引き継ぎ、前日比443円安の34,645円と反落して取引を開始しました。前日の米国株は長期金利の上昇が嫌気され、株式主要3指数は揃って下落しました。米国の半導体株などハイテク株の下落が波及し、日経平均株価は一時前日比882円安まで下げ幅を広げました。一方で、レーザーテックやニトリホールディングス、アサヒグループホールディングスなどが、前日引け後に発表した好決算を手掛かりに逆行高となり、投資家心理を和らげ、下げ一巡後は下げ幅を縮小し上昇に転じる場面もありました。新規の材料に乏しい中、午後に入ると35,000円を挟んで一進一退の動きが続きましたが、引けにかけてはやや値を下げ、前日比258円安の34,831円と3営業日ぶりに反落して取引を終えました。日経平均株価の高値と安値の差分で計算される日中値幅は1,172円と依然高水準にはあるものの、3営業日連続して縮小を続けており、円高の一服もあり、徐々に落ち着き始めています。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 本日の引け後、東京エレクトロンは2024年4ー6月期決算を発表します。日経平均株価の構成比で2番目に大きい同社の株価動向は明日の日経平均株価に大きな影響を及ぼすことから、発表内容が注目されています。米国では本日8月3日の週の新規失業保険申請件数が発表されます。 (野村證券投資情報部 神谷 和男) ご投資にあたっての注意点
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08/08 08:24
【野村の朝解説】米国株が反落、神経質な相場展開が続く(8/8)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 7日の米国株式市場では、主要3指数が反落しました。アジアや欧州株式市場がしっかりした値動きとなった流れを受けて、また、短期的に売られ過ぎとの見方もあり、朝方はテクノロジー株を中心に主要3指数は上昇して始まりました。しかし、前日引け後発表のサーバーなど電子機器製造のスーパー・マイクロ・コンピューター(SMCI)、7日寄り前発表のウォルト・ディズニー(DIS)の決算が失望される中で、米景気の減速や企業業績悪化への懸念が続き、相場は次第に失速しました。また、午後1時発表の10年債入札が軟調となり、米10年国債利回りが上昇したことも相場を下押しし、主要3指数は下げに転じました。為替市場では、急速な円高が一服し、1ドル=147円台後半まで円安ドル高方向に値を戻しました。日銀内田副総裁が7日の記者会見で、「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と追加利上げに慎重な姿勢を示したことが主因です。 相場の注目点 米国市場では不安心理が一旦は緩和しましたが、米景気の減速や米企業業績悪化への懸念が継続しており、神経質な相場展開がしばらく続きそうです。しかし、米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースが速まることによる景気下支え効果が期待できるため、米景気の急減速は避けられると見ています。また、日本株は、株価急落による割安感が相場の支えになるため、1か月前後で安定化に向かうと野村證券では予想します。日銀の早期利上げの可能性が後退したことも相場の支援材料ですが、内田副総裁は不安定な相場への配慮と同時に継続的な利上げを示唆しており、年内には日銀の追加利上げ期待が再燃し、再び円高圧力となる可能性には注意が必要です。本日は、7月日銀金融政策決定会合における主な意見が公表されます。今後の日銀の金融政策を占う上で参考になります。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年8月8日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/07 16:26
【野村の夕解説】日銀の追加利上げ懸念が後退し、日経平均株価は続伸(8/7)
(注)画像はイメージです。 本日の動き 前日に史上最大の上げ幅を記録した反動から、本日の日経平均株価は前日比553円安の34,122円で寄り付き、一時下げ幅を936円にまで拡げました。その後の日経平均株価は米ドル円相場の動きに沿って荒い値動きが続きましたが、日銀の内田副総裁が講演で、「金融資本市場が不安定な状態で利上げすることはない」との見方を示したことが伝わると、日米の金利差拡大の思惑により為替市場では1米ドル=147円台半ばまで円安が急進しました。これを受けて日経平均株価も上げ幅を拡大し、前日比∔1,174円まで急上昇しました。ただ、その後は更なる上値を追うだけの材料は無く、取引時間終了が近づくにつれて円安に歯止めがかかり、株価は徐々に上げ幅を縮小し、前日比414円高の35,089円で本日の取引を終了しました。個別銘柄では、取引時間中に大和ハウス工業や日本電信電話が決算発表等と同時に自社株買いを発表し、大和ハウス工業の株価は一段高となりましたが、日本電信電話は業績が失望されて株価の上昇幅が縮小しました。 本日の市場動向 ランキング 本日のチャート (注)データは15時15分頃。ドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。(出所)Quickより野村證券投資情報部作成 今後の注目点 明日、日本で7月の景気ウォッチャー調査が発表されます。足元で進む円高・ドル安の影響をどれだけ反映し、景況感が変化しているかが注目されます。 (野村證券投資情報部 秋山 渉) ご投資にあたっての注意点
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08/07 08:13
【野村の朝解説】米国株は4営業日ぶりに反発(8/7)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 6日の米国株式市場では、主要3指数が4営業日ぶりに反発しました。売られ過ぎに対する押し目買いの動きと見られますが、前週木曜日から3営業日連続の株安の後、火曜日に反発する典型的な「アラウンドチューズデー」の動きであるため、今後も一定のボラティリティが残る可能性があります。国債市場では緊急利下げ観測が後退し、長期債を中心に金利が上昇、ドル円相場は一時144円目前まで円高が進行する場面もありましたが、概ね145円を挟んで取引されています。 相場の注目点 8月に入り、米国の景気後退懸念から世界的な株安に見舞われました。ただし、5日発表のISM非製造業指数が大きく改善したことなどから、市場の不安心理は緩和されたようです。6日は日経平均株価が前日比10%超、TOPIXも同9.3%反発するなど、世界的な株安は一旦一息をついています。ただし、CME日経225先物は3万3,605円と前日の日経平均の終値3万4,675円を1,000円以上下回るなど、依然として調整含みの状態です。米国でもVIX指数が前日から30%近く低下しましたが、27.71ポイントと心理的節目とみられる20ポイントを上回っており、当面は変動の大きい相場展開が継続するリスクには注意が必要です。今週の米国では重要統計やFRB高官の講演などが予定されていないことから、やや手掛かり難の状況が続きそうです。このため、景気の先行きに対する手がかりとしても企業業績の結果が注目を集めそうです。 本日のイベント 24年4-6月期の決算発表が本格化しています。日本ではソニーグループ(6758)やソフトバンクグループ(9984)、米国ではウォルトディズニー(DIS US)の決算発表が予定されています。 (投資情報部 尾畑 秀一) (注)データは日本時間2024年8月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/06 08:13
【野村の朝解説】世界同時株安、ダウは一時1200ドル超安に(8/6)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 週明け5日の米国株式市場は、アジア、欧州の主要株価指数下落の流れを受けて大幅続落でのスタートとなり、NYダウの下げ幅は一時1,200ドルを超える場面もみられました。先週発表された、米国の7月ISM製造業景況指数や雇用統計が市場予想を下回ったことで、ハードランディング(景気の急速な失速)への警戒感が強まっています。5日発表の7月ISM非製造業景況指数が前月から改善したことはひとまず安心材料となりましたが、主要3指数は続落となりました。 相場の注目点 世界的に株安の連鎖が続いています。特に米国では6月下旬からハイテク株の不安定化が続いていましたが、米景気全体の後退懸念から市場心理が急速に冷え込んでおり、当面は市場の不安定な状態が続くとみられます。今後は経済指標の改善や米連邦準備理事会(FRB)による利下げによって、景気のソフトランディング(軟着陸)期待を回復できるかどうかがポイントです。野村證券では先週の米雇用統計を受けて、米国の年内の利下げ見通しをこれまでの9月、12月の2回から、11月を加えた年3回の利下げへと変更しました。また、リスクシナリオとして9月の利下げが0.50%ポイントとなる可能性もあると予想しています。FRBの対応が後手に回ったと判断された場合は一段とリスクオフが進む可能性があり、目先は8月22日-24日に開催されるジャクソンホール会合におけるパウエルFRB議長の発言が注目されます。 なお、米国市場で取引された日経平均のCME先物は33,190円であり、本日の日経平均株価は昨日終値(31,458円)から上昇して寄り付くことが想定されますが、引き続きボラティリティの高い展開が想定されます。本日は6月毎月勤労統計が発表されます。企業の賃上げにより基本給にあたる所定内給与は前年比+2.3%と伸び率は29年6ヶ月ぶりの高さとなりましたが、実質賃金は25ヶ月連続のマイナスです。実質賃金がプラスになるか注目されています。 (投資情報部 引網 喬子) (注)データは日本時間2024年8月6日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/05 21:00
【週間ランキング】日本株の値上がり/値下がり銘柄は?(8月第1週(7月第5週))
※画像はイメージです。 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年8月第1週(7月第5週)(2024年7月26日~8月2日) 2024年7月月間(2024年6月28日~7月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年8月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年8月2日。HDはホールディングスの略。FGはフィナンシャルグループの略。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年8月第1週(7月第5週)(2024年7月26日~8月2日) 2024年7月月間(2024年6月28日~7月31日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年8月2日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年8月2日。 HDはホールディングスの略。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年8月2日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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08/05 09:30
【特集】過去の円高時に上昇した銘柄ランキング 4つの傾向で分類すると
(注)画像はイメージ。 日米の金融政策決定会合を受けて、円高が進行 7月31日に、日米の金融政策決定会合の結果が公表されました。FOMC(連邦公開市場委員会)については、政策金利が据え置かれる一方で、パウエル議長が「9月FOMCで利下げが選択肢になる可能性がある」と発言し、9月の利下げがメインシナリオとなっていることが示唆される内容でした。 一方、日本銀行の金融政策決定会合では、政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物)の0.25%への引き上げや、国債買入れの減額計画の策定などが決定されました。 日銀は現状の金融環境が緩和的であることを強調し利上げを正当化しましたが、FRB(米連邦準備理事会)は現状の金融環境が景気抑制的であることを強調し、将来の利下げを示唆しました。この点で、両者は対照的でした。為替市場はドル売りで反応し、ドル円は一時的に150円を割り込むまで調整しました。 野村では、当面は150円を中心とした推移を基本としながらも、下振れリスクに注意が必要と考えています。円高・米ドル安に備えた投資アイデアの検討を行うのも一案でしょう。 では、過去に円高が進行した時にはどのような銘柄が上昇したのでしょうか。また、それらの銘柄にはどのような特徴があるのでしょうか。 これを分析するために使った指標が、「対米ドル円ベータ値」です。これは米ドル/円の為替変動に対して、市場全体の変動を超えて動く傾向のある(為替感応度が高い)個別銘柄に注目できる指標です。 ベータ値がマイナスで値が大きい銘柄ほど、円高ドル安の為替変動の影響を受けて上がったということを意味します。また、ベータ値=0は、その銘柄は為替変動の影響を受けなかったということを意味します。 (注1)対象はREITを除く野村アナリストカバー銘柄。レーティングが保留の銘柄は除外している。対米ドル円ベータ値の下位25銘柄を記載。全ての銘柄をグループ化しているわけではない。(注2)ベータ値は、直近60ヶ月(5年)の月末ベースの月間騰落率より算出(修正株価を使用)。米ドル円相場は日銀公表値終値(売り気配)を採用。直近値は2024年7月26日。1円の円安米ドル高による影響は、対米ドルで1円円安が進行した場合の営業利益への影響額で、野村證券エクイティ・リサーチ部の予想(2024年6月24日時点)。ただし、川崎汽船は経常利益、住友金属鉱山、レーザーテック、太陽誘電、HOYAは税前利益が対象利益。1円の円安米ドル高による影響が記載されていない銘柄は為替の業績への影響が小さいと判断される銘柄。(出所)東京証券取引所、日本経済新聞社、日本銀行、野村證券エクイティ・リサーチ部より野村證券投資情報部作成 円高時に上昇した銘柄の特徴とは? 過去(5年間)、円高米ドル安が進行した際に上昇した銘柄は、概ね下記のようなグループに分けられます。 ① 円高メリットグループ小売・食品など、円高により商品や原材料の仕入コストが低下すると期待される業種 ② 円高無関係グループヘルスケア、インターネットサービスなど、為替の影響を受けにくいとされる業種 ③ 高成長期待グループ成長期待の高い(実際に過去の増収率が高い)半導体・電子デバイス関連銘柄 ④ 高ROEグループ内需、外需問わず、ROEが高い銘柄 一般的には、①や②のように、他の業種に比べ、円高米ドル安が業績に好影響(あるいは影響が限定的)であるグループの銘柄が上昇すると考えられがちです。 ただ実際には、円高が業績的には不利に働くことが多い高成長期待銘柄や、ブルーチップ性の高い高ROE銘柄も数多く名を連ねています。 (野村證券投資情報部 大坂 隼矢) ご投資にあたっての注意点
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08/05 08:25
【野村の朝解説】雇用の悪化を受けて米株下落、円高が進行(8/5)
(注)画像はイメージです。 海外市場の振り返り 2日の米国株式市場では、主要3指数が下落しました。朝方発表の7月非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を大幅に下回り、失業率が4.3%と予想を上回ったことで、労働市場の急速な冷え込みが確認され、景気大幅減速懸念が強まりました。また、前日発表の24年4~6月期決算が市場予想を下ぶれたアマゾン・ドットコム(AMZN)が8.78%安、インテル(INTC)が26.05%安と株価が大幅下落した他、一般消費財セクターが相場の下げを主導しました。米10年国債利回りは一時3.78%と2023年12月下旬以来の水準に低下し、為替市場では1ドル=146円台半ばまで円高ドル安が進行しました。 相場の注目点 米国株の下落と円高進行が日本株の下押し要因となりそうです。これまでは、景気のソフトランディング(軟着陸)と米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が相場を下支えしてきましたが、足元の弱い経済指標を受けてハードランディング(景気の急速な失速)への懸念に変わりつつあります。また、人工知能によるテクノロジー企業の成長期待は、足元の業績を受けて成長性に疑念が生じ、相場の下げをもたらしています。株式市場では市場心理が急速に悪化しており、「恐怖指数」と呼ばれる米株の変動性を表すVIX指数は、23年3月以来の高い水準を付けました。ただし、足元の株価の調整は、投機的な動きや投資ポジションの調整が一因と見られます。また、足元の経済指標の悪化や相場の変調を受けて、FRBがハト派化(景気への配慮を重視)すると野村證券では見ています。米国の利下げ期待と景気軟着陸期待が回復すれば、相場反転のきっかけになる可能性があります。米国では5日に7月ISMサービス業景気指数の発表とFRB高官の講演が予定されています。景況感の悪化は市場心理の一段の悪化につながります。FRB高官がどのような政策スタンスを示すのか注目です。 (投資情報部 坪川 一浩) (注)データは日本時間2024年8月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 野村オリジナル記事の配信スケジュール ご投資にあたっての注意点
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08/04 12:00
【注目トピック】TOPIX高値更新までの34年:栄枯盛衰と新陳代謝
※画像はイメージです。 日本:TOPIX高値更新(34年前との比較) TOPIXも高値更新 2024年7月4日、日経平均株価に続き、TOPIXも、資産バブル期に記録した史上最高値を約34年半ぶりに更新しました。その後もTOPIXは上昇を続け、7月11日には2,929.17ポイントに達しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)株価およびPER(株価収益率)は注記がない限り、いずれも月末値。直近値は2024年7月31日時点。(注2)予想12ヶ月先EPS(1株当たり利益)は、今期の残存期間に応じて、今期/来期の予想EPSを時間按分したもの。予想は東洋経済新報社。棒グラフのEPSは2022年度以前が実績で、2024年度以降は予想。なお、赤字だった年度は表示していない。(注3)PERが80倍以上、あるいは計算不能の場合は表示していない。(出所)JPX総研、東洋経済新報社、野村證券市場戦略リサーチ部より野村證券投資情報部作成 一方、東証プライム(2022年4月以前は東証一部)の時価総額は、2015年5月時点で既に資産バブル期の最大値を超えており、2024年7月10日には、初めて1,000兆円の大台を超えました。東証市場改革や企業の資本政策・自己変革の成果の表れと言えます。 その後、TOPIXは円高の進展などもあり、水準を切り下げていますが、株価に割高感はなく再度の高値更新にバリュエーション面からはそれほどの困難は伴わない、と考えられます。1989年12月当時のTOPIXのPERは48.8倍(益利回り2%)に達していたのに対し、現在では15.6倍と1/3にすぎません。 また、債券利回りとの比較では、当時は10年債利回りが5%を超えており、益利回りから株価水準を正当化するのは困難でした。 業種別 経常利益構成比 次に、TOPIX史上最高値更新に貢献した業種を経常利益の側面から見てみましょう。1989年当時に比べて銀行の比率が大きく下がり、代わって輸出企業(輸送用機器、電気機器)、成長セクター(通信業、小売り)が全体業績を牽引する構図に大きく変化していることがわかります。 (注)東証一部/東証プライム市場の業種別経常利益構成比。1989年度は実績値、2024年度は東洋経済予想(2024年7月17日時点)。両時点ともに利益構成比上位10業種を表示している。円グラフの中央の数字は、経常利益総額。(出所)JPX総研、東洋経済新報社などより野村證券投資情報部作成 当時は、1980年代中盤より本格化した規制緩和が進行中で、多くの業種で護送船団方式とよばれる行政手法が残存していました。銀行や証券、電気・ガスなどは、その後の自由化進展とともに利益構成比は低下しました。逆に、通信や小売りでは、通信自由化や、出店規制の緩和が追い風となり大きく利益構成比が上昇しました。経営資源を成長率の高い海外に集中投下した、輸送用機器や電気機器なども利益構成比を上げています。 時価総額構成比 時価総額においても同様の傾向が見られます。1989年当時代表的な規制業種であった銀行業の順位が大きく下がり、輸出産業や、規制緩和にともなう内需・非製造業系の業種の構成比が大きく上昇しています。 (注)東証一部/東証プライム市場の業種別時価総額構成比。2024年7月17日の値は概算値。両時点ともに時価総額構成比上位10業種を表示している。円グラフの中央の数字は、時価総額。(出所)JPX総研などより野村證券投資情報部作成 なお、足元で時価総額の比率が最も大きい電気機器は、厳しい業界再編により業種内のプレイヤーが減った結果、現在も存続している企業の評価が高くなっていることが特徴です。 PERと同じく、TOPIXのPBRは1989年末時には5倍を超えていましたが、現在は1.4倍と1/3以下の水準です。対して、電機精密(注)セクターのPBRは1989年末時点で2.5倍、現在も変わらず2.5倍と、業種レベルでPBR水準を保っている数少ない業種です。なお蛇足ながら、電機精密以外でPBR水準が当時に比べて不変~上昇しているのはソフトウエア・セクターのみです。 (注)本文中のPBRはいずれもラッセル野村Large Capおよび、電機精密セクター、ソフトウエア・セクターのもの。 TOPIX 新陳代謝の状況 米国のNYダウやS&P500、日本の日経平均株価などに比べて、TOPIXは構成企業の新陳代謝が乏しい指数と言われてきました。 1989年12月末当時に上場していた企業のうち12.1%の企業がその後上場廃止となっていますが、これは主に不良債権処理により破綻/廃業を余儀なくされた企業が大半だと見られます。またその過程で、日本経済が大きく混乱し、収拾のために官民ともに多額のコストを費やしたことは広く知られています。 (注)各時点で、東証一部(現東証プライム)市場に上場している企業を、①1989年12月以前より上場していた企業、②1989年12月以降に上場した企業、③各時点以降に上場廃止になった企業、の3グループに分け、各々のグループの時価総額構成比を示したもの。合併などにより社名や証券コードが変わっているものについては、野村證券投資情報部の判断により、1989年12月以前より上場していた、あるいは1989年12月以降に上場した、グループに振り分けている。(出所)JPX総研などより野村證券投資情報部 混乱が収拾に向かった2000年以降は、TOPIXへの企業の出入りは、『入り』はともかく、『出』はめっきり減少しています。1989年末時点にすでに上場していた企業の時価総額構成比は、現在に至るまで60%台後半から80%程度で推移しています。2022年4月に東証プライム市場がスタートしましたが、今のところ継続/新規上場企業の比率に大きな変化は見られません。 (野村證券投資情報部 伊藤 高志) ご投資にあたっての注意点