閉じる
閉じる

17分前

【5月の投資戦略】地政学リスクの影響は一時的とみる

目次・ストラテジーの基本観は業績拡大の見極め・中東の地政学リスクの経済への影響は現時点で限定的とみる・米国企業業績の拡大は幅広い業種に広がる・中国政府は経済・金融市場に様々な対応策を講じる・日本では当面は緩和的な金融環境が続く・日本の主要企業は連続増益が続く ストラテジーの基本観は業績拡大の見極め 中東の地政学リスクの高まりが、主要国の株価を押し下げました。しかし、主要国の実体経済への影響は現時点で限定的とみられます。一方、米国の利下げ開始の後ずれ観測により長期金利が上昇しています。我々は、米国株式市場は金利低下による金融相場から企業業績が拡大に向かう業績相場へと進み、日本企業も業績拡大が続くことで、株式市場の好環境が持続するとみてきました。現在もこの見方は不変です。米国の利下げ後ずれが市場に織り込まれた上で、日米企業業績の拡大が続くことが確認されれば、株式市場は復調に向かうとみます。 ▲TOPに戻る 中東の地政学リスクの経済への影響は現時点で限定的とみる イスラエルとイランとの戦闘がエスカレートし、原油価格が上昇しています。しかし、現時点で主要産油地域に戦闘範囲は広がっておらず、原油の生産・供給への制約は限定的とみられます。主要国は関係国・組織に応酬の自制を促しています。一方、主要国・地域の製造業の景況感は復調が続いています。 ▲TOPに戻る 米国企業業績の拡大は幅広い業種に広がる 米国経済は住宅市況が大底圏にある一方、雇用や消費は堅調です。インフレの減速は十分では無く、FRB高官のほぼ全員が早期の利下げは不要と発言しています。長期金利が上昇していますが、利下げ後ずれの織り込みが進んでいるためでしょう。2024年1-3月期の決算シーズンが始まりました。企業業績は同四半期も増益を確保したとみられ、2025年にかけて二桁増益に向かう中で、増益の勢いは大手テクノロジー企業から幅広い業種に広がるとみられます。 ▲TOPに戻る 中国政府は経済・金融市場に様々な対応策を講じる ユーロ圏はインフレが減速する中で、6月に利下げ局面入りする可能性が高まっています。中国経済は力強さに欠ける状況が続いています。一方、中国政府は様々な対応策を講じており、現に2023年春以降の株価下落は、株価対策もあって落ち着いたようにみえます。 ▲TOPに戻る 日本では当面は緩和的な金融環境が続く 日本の生産活動は、自動車産業の品質不正問題により生産減が引き起こされたものの、徐々に復調に向かうとみられます。円安もあって、国内の設備投資やインバウンド需要は堅調です。日本銀行が大規模な金融緩和を解除した後、債券利回りが幾分上昇していますが、市場の混乱はみられません。次の利上げは賃金上昇の経済や物価への波及を確認した後、少なくとも秋以降になり、当面は緩和的な金融環境が続くでしょう。 ▲TOPに戻る 日本の主要企業は連続増益が続く 米ドル円相場は歴史的な円安水準です。経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)や米国の利下げ後ずれ観測による債券利回り上昇から、米ドル高が進み易い現状です。為替介入があったとしても、スピード調整はできても円高への反転は難しいかもしれません。日本の主要企業の業績は、前年度比+7%前後の経常増益が複数年続く見通しに変わりはありません。仮に原油価格が上昇しても、価格転嫁を通じて業績への影響は軽微なものにとどまり、もし円安水準が通年で続けば、数%程度の増益要因になると試算されます。景気と企業業績の拡大が続く中で、野村證券は2024年内の日経平均株価のレンジ高値を44,000円と予想します。 ▲TOPに戻る 投資戦略については、地政学リスクは企業業績や経済のファンダメンタルズを毀損するものでなければ、影響は一時的と判断されます。米国の利下げ先送りが一定程度織り込まれた後は、引き続き、日米企業業績の拡大が株価を下支えするとみます。 (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 5月号」(発行日:2024年4月22日)「投資戦略の概要」より※掲載している画像はイメージです。 Nomura21Global参考銘柄について ご投資にあたっての注意点

新着 矢印

900