来週の注目点:FRB、ECBのタカ派度合い、日銀の物価評価が焦点
金融市場では、FRB(米連邦準備理事会)高官らの6月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ見送りを示唆する発言を受けて、利上げ期待が低下し、13日(火)~14日(水)に開催される6月FOMCは「タカ派的(景気よりも物価抑制に積極的)据え置き」との見方が大勢となっています。同時に公表される参加メンバーの2023年末のドッツ(政策金利見通しの中央値)にも注目が集まります。日本では15日(木)~16日(金)に日銀金融政策決定会合が開催されます。YCC(イールドカーブコントロール)の修正があるのか、賃金・物価上昇の持続性に対する日銀の評価が焦点となります。ユーロ圏では15日(木)にECB(欧州中央銀行)金融政策理事会が開催されます。ユーロ圏での賃金インフレは高水準にあるため、ECBは利上げを実施し、タカ派的な姿勢の継続を示すと見込まれます。
経済指標は、米国では13日(火)に5月消費者物価指数、15日(木)に6月NY連銀製造業景気指数、5月小売売上高、5月鉱工業生産、16日(金)に6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)が発表されます。最大の注目点は消費者物価指数です。特にコアサービス価格が注目されますが、予想よりも上振れた場合には6月FOMCで利上げが実施されることも想定され、金融政策判断に影響することが予想されます。
中国では、15日(木)に主要統計である5月小売売上高、鉱工業生産、1-5月固定資産投資、不動産投資が発表されます。世界的な財の需要低迷やゼロ・コロナ政策撤廃からの景気回復の一服に伴い、一段の減速を示す可能性に注意が必要です。
ユーロ圏では、13日(火)にドイツの6月ZEW景況感調査が発表されます。景況感の悪化が継続するか注目です。
(野村証券投資情報部 岩崎 晴弥)
(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年6月9日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成