来週の注目点:日米の金融政策の方向性の違いに引き続き注目

円安が進行しています。ECB(欧州中央銀行)フォーラムで28日、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が7月会合での追加利上げの可能性を否定しなかった一方、植田日銀総裁が「2024年度の物価上昇率見通しの達成にあまり自信がない」と述べたため、日米の金融政策のベクトルの違いが改めて意識されました。

今後の金融政策についてパウエルFRB議長は、データ次第との姿勢を崩しておらず、引き続き米国のインフレや雇用などの経済指標に注目が集まります。米国では、7月3日(月)に6月ISM製造業景気指数、5日(水)に6月FOMC議事録、6日(木)に6月ADP全米雇用レポート、6月ISMサービス業景気指数、7日(金)に6月雇用統計と重要統計の発表が続きます。

一方、日本では急速な円安に伴い、当局による円買い介入への警戒感が高まっています。日銀の政策修正の機運は低下していますが、7月会合でインフレ見通しが修正される可能性が指摘されます。3日(月)発表の6月調査・日銀短観では、足元の景況感と企業のインフレ期待が注目されます。製造業は供給制約の緩和、資源高の一服に伴うコスト低下が景況感の改善に寄与すると見られます。非製造業は行動規制の緩和に伴う消費持ち直し、インバウンド需要回復、賃金の上昇が景況感の改善に寄与すると予想されます。

ユーロ圏では、6日(木)にドイツの5月製造業受注が発表されます。ドイツでは財の需要低迷を受けて生産や景況感が落ち込んでおり、悪影響が見込まれます。

中国では、3日(月)に6月財新版・製造業PMI、5日(水)に6月財新版・サービス業PMIが発表されます。輸出の伸びが鈍化していること、ゼロコロナ政策解除後の観光や移動の回復の勢いが滞っていることから、製造業及びサービス業共に低下が見込まれます。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年6月30日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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