決算概要
EPS実績は市場予想を上回った
米国時間7月14日寄り前に、金融持株会社であるJPモルガン・チェース(JPM US)が2023年4-6月期(2023.12期第2四半期)決算を発表しました。純収益は市場予想を8.8%上回り、破綻したファーストリパブリック銀行の買収関連など特殊要因を除いた非米国会計基準のEPSは市場予想を9.4%上回りました。
会社は、2023.12月期通期の市場部門を除いた純金利収入の見通しを、従来の810億ドルから870億ドルに引き上げました。また、通期のカード部門の貸倒率を2.60%で据え置きました。
消費者の状況は健全
カード部門の貸倒率実績は、2023年1-3月期の2.07%から、4-6月期には2.41%に上昇しました。
ジェイミー・ダイモンCEOは、「米国経済は引き続き底堅い。消費者のバランスシートは健全な状態を維持しており、消費者の支出はやや緩やかではあるが増加している」と、コメントしました。今後、カードローン残高の伸びが止まったり、返済に回ることで残高が減少したりした際に、GDPの約7割を占める個人消費に悪影響が出る懸念がありますが、足元では急速な悪化は見られないことが確認された形です。
投資銀行部門は、株式・債券の引受や債券トレーディングの純収入が市場予想を上回りました。
純利益とEPSの推移
株価は上昇
JPモルガン・チェースの株価は、前日比0.60%高で引けました。純収入・EPSの実績や、純金利収入と貸倒率の見通しが市場予想より良好だったためと考えられます。
株価推移 (6ヶ月日足)
(注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益で、破綻したファーストリパブリック銀行の買収に関連した資産の割安価格での取得による利益や追加の引当金積み増しによる損失、投資評価減などの特殊要因を除く。特殊要因を含んだEPSは4.75ドル。
(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年7月14日時点。
(注3)純収益とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年4-6月期(2023/6)。灰色はリフィニティブ集計による市場予想平均。2023年7-9月期以降の予想は2023年7月13日時点。(出所)会社発表、リフィニティブより野村證券投資情報部作成
(文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行)
<前回の当社決算と比較!>
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