
バリュー株圧勝は一時休止
足元、日本と米国ともに株価が調整局面に入っています。米国では、不動産や金融、消費関連セクターが軟調で、景気後退入りを徐々に意識するような動きとなっています。日本では、中間配当への課税を回避しようとする海外投資家による、高配当利回り銘柄の売却という季節的な動きが見られました。バリュー株が優勢な状況にいったん歯止めがかかっています。
今後の見通しについて、日本株全体としては株式の需給環境が良好であると考えています。海外投資家は9月22日までの6週間で2.56兆円という大規模な現物株式の売り越しを記録しました。しかし、①アジア地域内でのリスク分散先、②デフレからの脱却、③ガバナンス(企業統治)の改善、という日本株強気を支える3本柱は依然として崩れていません。早晩、日本株買いが再開されると見込んでいます。
例えば、東京証券取引所(東証)の「要請」の目に見える成果として、政策保有株式(株式持ち合い)の解消売りが例年比5割増のペースで加速している点は注目を集める公算が大きいでしょう。また、岸田文雄首相による経済対策のとりまとめ指示とともに「11月解散・12月総選挙」のシナリオが再浮上しています。これも株価上昇の短期的なカタリスト(きっかけ)が存在しない状況を変える可能性があります。
一方で、外需株には引き続き慎重な投資スタンスを維持します。米国の景気指標では、消費者信頼感指数や新規失業保険申請件数など、弱さが目立ちます。これは、先行きのインフレ鎮静化の観点からはポジティブな材料ですが、年末商戦に向けた不安は、電機・精密セクターなどにとってはネガティブな材料となり得ます。中国景気も、日本の8月の輸出の伸び悩みを考慮すると、回復が鈍いようです。
日本のグロース株に関しては、中国景気に敏感な半導体製造装置やFA(ファクトリーオートメーション)関連セクターの比重が高い点を考慮すると、全面復活は難しい状況です。金利上昇が一服するメリットが表れやすいセクターとして、システム・アプリケーションや食品に注目しています。
(FINTOS!編集部)
要約編集元アナリストレポート「日本株ストラテジー – 注目点とトピック(2023年9月28日配信)」(プレミアムプラン限定)
(注)画像はイメージ。