日銀短観・9月調査が発表されました。業況判断DIの「最近」は大企業・製造業が+9(6月調査実績+5)、大企業・非製造業が+27(同+23)となり、非製造業のDIの高さが目立つ一方、製造業のDIも3月調査から好転が続いています。概ね非製造業が主導する形での回復となっています。

一方、最近の交易条件(販売価格判断DIと仕入価格判断DIの差)を見ると、大企業・製造業は改善し、大企業・非製造業ではほぼ横ばいとなっています。交易条件の改善が業種全般にわたっていることが、今次景気回復の特徴であり、年初来の株価上昇のけん引役となってきました。ただ、先行きの交易条件は製造業・非製造業ともにほぼ横ばいが見込まれています。

こうした環境の中で注目されるのは企業の投資計画が堅調であることです。直近ではコロナ禍により2020年度は落ち込みましたが、その後は急回復しています(下図)。特にソフトウェア投資は2023年度は2022年度に続き、前年度比10%以上の高い伸びが計画されています。近年、いわゆる工場のような箱物投資よりもむしろソフトウェアのような無形資産投資の重要度が増しています。特にソフトウェア開発をリードする米国では、ソフトウェアを含めた知財投資額が工場や機械などの実物投資額を上回っています(GDPベース)。

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ある意味で、世界最先端の財、サービスを開発・提供するうえで、ソフトウェアの巧拙が優劣を決めると言っても過言ではないでしょう。日本においても、ソフトウェア投資が活性化しています。

従来、企業の投資については、「米国は金利、日本はキャッシュフロー次第」と言われてきました。もちろん、様々な要因が投資を誘発しますが、2023年度の日本企業の経常利益が3期連続で最高益を更新する見込み(ラッセル野村Large Cap)であることも追い風となります。

足元で日経平均株価は30,000円台へ下落しています(10月4日現在)。原油価格(WTI)が90ドル/バレル台へ上昇し、財政赤字の拡大を受けて米国債が大幅に増発されていることなどを背景に米国長期金利(10年国債利回り)が4%台後半へ上昇していることが主な要因です。それを受けて日本の長期金利も上昇していますが、やがては日本の緩和的金融政策も出口を迎えます。しかし、こうした環境下でも企業が積極的な設備投資・研究開発投資を続けてゆくことは企業の国際競争力の源泉となります。AIについても漸く実用化段階に入ってきました。益々ソフトウェアの重要度が増します。

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