プログラミングのコードを自動で生成するAI(人工知能)技術に注目している。

コードを自動生成するAI は、多言語の膨大なテキストデータ(本、Wikipedia、Web サイトなど)を収集して学習する、大規模言語モデルと呼ばれるAI をもとに作られている。プログラミング言語も一種の言語であるため、AI はその文法や構造を学習し、学習成果に基づいてコードを生成することができる。

例えば、ChatGPT のような人間と会話するAI に対して、「自分のホームページを作りたいのでコーディング案を出してください」と質問すると、AI は適切なコード案を提示する。プログラミングの初心者でもWeb サイトを簡単に作ることができる。

初心者だけでなく本職のプログラマーにも有用である。既存のプログラムの拡張や修正などにおいてコードを変更する際に、開発者がAI に変更内容を説明すると、AIは適切なコードを生成する。

AI がプログラミングを支援するサービス「GitHub Copilot」は、全世界で100万人以上が利用する。GitHub 社によると、多くのプログラマーは、AI によるコーディングサービスを利用することで、繰り返し作業に伴う精神的疲労が軽減され、早くタスクを完了できると感じているようだ。

生成AI は、コーディングの自動化にとどまらず、システム開発にも活用可能である。従来の日本企業は、システム開発するべき業務内容や具体的な開発手順をシステム開発会社に丸投げすることが多かった。今後は、システム開発会社に依頼して独自のシステムを開発するか、汎用的に利用できるパッケージ・ソフトウェアの購入で対応するか、社内開発で対応可能か、を自社で切り分けることが容易になる。

企業がシステム開発会社の開発能力を見極める力も向上すると、企業のDX が加速する。結果として日本全体のDX 化が加速することが期待される。

勿論、あくまでも、AI による自動コーディングはツールの一部で、開発者の創造性や専門知識を補完するものとして利用されるべきである。人間の判断力や専門知識が重要なことはこれまでと変わりない。AIと人間のプログラマーの共同作業により、更に優れたシステム開発が実現することに期待している。

(野村證券フロンティア・リサーチ部 中野 友道)

※野村週報 2023年10月23日号「新産業の潮流」より

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