FRBは3会合連続で利上げを見送る

FRB(米連邦準備理事会)は13日、大方の事前予想通り政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは3会合連続です。

同時に発表された政策金利見通し(中央値)では、1回あたりの政策金利の変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年中に3回、25年中に4回の利下げ見通しが示されました。市場ではFOMC直前まで24年末までに4~5回の利下げを織り込んでいましたが、FRBの政策姿勢が緩和方向へ転換したこと、会合後の記者会見でパウエル議長から市場の早期利下げ期待をけん制するような発言は見受けられなかったことから、米国株式市場では主要3指数が続伸し、NYダウは史上最高値を更新しました。米国債市場では利回り曲線全域にわたって金利が低下、為替市場ではドル全面安の展開となりました。ドル円も1ドル=142円台後半とFOMC直前の145円前後の水準から2円以上円高が進行しました。

FRBは2022年3月以降、急速なペースで利上げを続けてきましたが想定以上に景気は堅調に推移してきたことから、景気にとって緩和的でも引き締め的でもない中立金利が上昇しており、利上げによる引き締めが効果を発揮し難くなっているのではないか、との見方も高まっています。その場合には、これまでの想定以上に政策金利が引き上げられる、あるいは長期間にわたって高止まりすることが予想されます。今回はFRBが想定している中立金利の代理変数である長期政策金利見通し(Longer run)が2.5%で据え置かれたことも、長期金利の低下、株高に寄与した可能性があります。

FRBが利上げから利下げへと転換した後は、景気や金融市場動向を睨みながら、一定のペースで利下げを行うと予想されます。24年中に3回の利下げを想定した場合、早ければ6月から、遅くとも9月から利下げを開始すると予想されます。野村證券では24年6月に予防的に利下げを実施した後、同年9月以降、25年末まで各会合で0.25%ポイントの利下げ実施を予想しています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

ご投資にあたっての注意点