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2025年の日本株は、主要国との金融政策の方向感の違いや円高リスクへの警戒感に加え、4月以降はトランプ大統領の関税政策に対する不透明感が重石となり、欧米株式市場と比べて出遅れ感が目立っていました。しかし、難航すると見られた日米関税交渉が合意に達した7月下旬以降は見直しが進み、日経平均株価は4万円大台を回復し、一時4万2,000円を超えて2024年7月に付けた過去最高値に迫る場面もありました。なお、TOPIX(東証株価指数)は一足早く過去最高値を更新しています。
日経平均株価の過去最高値更新は一旦お預けとなりましたが、遠くない時期に最高値を更新する可能性は高いと考えられます。下図は2006年以降の月足チャートです。リーマンショック以降、3年半で約2.6倍となったアベノミクス相場を皮切りに、スケールの大きな中長期上昇局面は合計4回(下図A~D)あります。注目されるのは、いずれも直前の天井(高値)から引き下ろした下降トレンドラインや上値抵抗ラインに相当する水準を明確に上抜けたことが、中長期上昇局面入りのシグナルと捉えられる点です。
日経平均株価:月足チャート(2006年~)

(注1)直近値は2025年8月7日時点。
(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(注3)日柄は両端を含む。
(注4)▲はマイナス。
(出所)日本経済新聞社、各種資料より野村證券投資情報部作成
改めて足元に目を向けると、2024年7月に過去最高値を付けて以降、ここまで値幅・日柄両面で調整十分と捉えられる中、25年6月以降の株価上昇で2024年7月以降の下降トレンドラインを明確に上抜けてきています。2025年4月安値を起点とした5回目の中長期上昇局面(Eに相当)に移行した可能性が高いと言えそうです。
過去4回(A~D)の安値から高値までの上昇倍率はおよそ1.6~2.6倍となっています。今回の局面に当てはめると、最も上昇倍率が控えめな下図Bの1.6倍では4万9,817円(=2025年4月安値31,136円×1.6倍)、前回の上昇局面(D)の上昇倍率1.7倍では5万2,931円と試算されます。
日柄面では、中長期上昇トレンド入りが明確となった2013年以降、約3年おきに高値を付けるリズムが観察されており、次のピークが到来する2027年央ごろに向けた株価上昇が期待されます。これは、過去4回(A~D)の平均上昇期間(約2年)を当てはめた時間軸とも概ね合致します。「日経平均株価は2027年に5万円超え」は、チャート面から見て十分達成可能な目標値と言えそうです。
テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。