FRBは4会合連続で政策金利を据え置き

FRB(米連邦準備理事会)は1月30-31日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開催し、大方の予想通り政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25-5.50%に据え置くことを決定しました。政策金利の据え置きは4会合連続です。声明では「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信を強めるまで、誘導目標レンジの引き下げが適切になるとはみていない」と記され、当局者らが利下げを急いでいないことを改めて示唆、会合後の記者会見でもパウエル議長は、3月FOMCで利下げを実施する可能性は高くないことを示唆しました。

23年12月FOMCで発表した政策金利見通し(中央値)では、1回あたりの政策金利の変更幅を0.25%ポイントとした場合、2024年中に3回、25年中に4回の利下げ見通しが示されました。市場では一時24年末までに6回程度の利下げを織り込んでいましたが、足元では3~4回程度とFRBの見通しに収斂しつつあります。

FRBは2022年3月以降、急速なペースで利上げを続けてきましたが想定以上に景気は堅調に推移してきたことから、景気にとって緩和的でも引き締め的でもない中立金利が上昇しており、利上げによる引き締めが効果を発揮し難くなっているのではないか、との見方も高まっています。その場合には、これまでの想定以上に長期間にわたって政策金利が据え置かれる、あるいは利下げ幅が限定的となることが予想されます。12月FOMC時点では、FRBが想定している中立金利の代理変数である長期政策金利見通し(Longer run)が2.5%で据え置かれましたが、今後の議論の行方には注意が必要です。

FRBが利上げから利下げへと転換した後は、景気や金融市場動向を睨みながら、一定のペースで利下げを行うと予想されます。野村證券では1回当たり0.25%ポイントの利下げを、24年は6月以降3ヶ月毎に3回、25年は3月以降4回の利下げを予想しています。25年末のFF金利の誘導目標は3.50-3.75%、着地点は3.00-3.25%となる見通しです。

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(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注)画像はイメージです。

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