※画像はイメージです。

※2024年5月23日(木)引け後の情報に基づき作成しています。

25日線超えを維持するも、テクニカル指標面に過熱感なし

今週の日経平均株価は、米国株高が好感された一方、日本の金利上昇などが重石となり、一進一退の推移でした。

チャート面からこれまでの動きを振り返ってみましょう(図1)。日経平均株価は、4月19日安値(36,733円)形成後に反発となりました。5月16日には、これまで概ね上値を抑えられてきた25日移動平均線(5月23日:38,288円)を上回り、その後も25日線超えを維持しています。

また、短期的な相場の方向性を示すとされる25日線の向きは、下向きから横ばいに転じつつあり、この先株価が大きく崩れなければ上向きに転じるとみられます。各種テクニカル指標面にさほど過熱感はなく、25日線超えを維持できれば、4月12日戻り高値(39,774円)や、心理的フシの4万円の水準へ向けて戻りを試す動きとなると考えられます。

一方で25日線超え後も高値更新ペースは緩やかなままであり、戻しが鈍く仮に25日線を再び割り込みさらに調整が続く場合は、4月19日安値(36,733円)に向けて再度下値を固めにいく展開が想定されます。

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(注1)直近値は2024年5月23日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成

次に中長期的な動きを確認してみましょう。今年4月安値にかけての調整は、長期上昇トレンド内の一時的な調整である可能性が高いと考えられます。過去の一時的な調整局面(図2:図中①~③)と今回を比較した場合、値幅調整は概ね十分と言えますが、一方、下落期間(日柄)の面では調整不足は否めません。

この先しばらく戻りを抑えられる場面もありそうですが、先行きは再び史上最高値を視野に入れる上昇になると考えられます。

(注1)直近値は2024年5月23日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成

NYダウ超長期上昇トレンド、2030年代に10万ドル前後へ

2024年5月17日、NYダウが終値で史上初めて4万ドルの大台に到達しました。雇用統計をはじめ消費者物価や小売売上など、5月に入って発表された4月分の主要経済指標が軒並み市場予想を下回ったことから長期金利が低下し、株価上昇の再開/最高値更新への追い風となりました(図3)。

(注1)直近値は2024年5月22日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社より野村證券投資情報部作成

NYダウの128年の軌跡をひも解くと、過去2回の超長期の上昇継続局面がありました(図4)。1回目が図中①の1942年から1966年までで、上昇期間は約24年間、100ドルから1,000ドルの大台水準に向けた上昇局面です。その後「株式の死」と呼ばれた調整期間を経て、2回目が図中②の1978年から2000年までで、上昇期間は約22年間、1,000ドルから10,000ドルの大台水準に向けた上昇局面です。

そして今回、2000年のITバブル崩壊からリーマンショックに至る調整期間を経て、NYダウは3回目の超長期の上昇継続局面に入っていると考えられます。2009年から2024年まで既に15年間上昇していますが、過去2回の図中①②の上昇局面を参考とすれば、この先2030年代前半にかけて、次の桁替わりの大台水準となる10万ドルを目指す上昇が進行中とみることができます。

(注1)縦軸は対数目盛。1896年は5月26日以降のデータ。直近値は2024年5月17日時点。トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)S&P ダウジョーンズ・インデックス社、各種データより野村證券投資情報部作成

2020年にコロナショックを経験したように、株価上昇が一本調子で続くことはありませんが、それら急落局面を乗り越えて超長期上昇トレンドは継続してきました。2030年代前半の10万ドル台は年換算で10~15%程度の上昇が続けば達成できる計算です。米国企業業績の成長を加味すれば、決して荒唐無稽な目標とは言えないのではないでしょうか。

(野村證券投資情報部 岩本 竜太郎)

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