来週の注目点:米国の重要統計、中村日銀審議委員、ラガルドECB総裁の発言

多くのFRB(米連邦準備理事会)高官は、前回(4月30日~5月1日開催)のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、利下げに関して慎重に見極める姿勢を強めています。そのため次回FOMC(6月11~12日)では金融政策は据え置きが予想され、市場の関心は政策金利見通しに集まっています。

今週は米国経済の先行きや金融政策の行方を予想する上で注目度の高い、月初の重要指標の発表が予定されています。6月3日(月)の5月ISM製造業景気指数、5日(水)の5月ISMサービス業景気指数は、業種別の景気動向だけではなく、投入価格の変化や企業の採用意欲を探る上でも注目されます。また、4日(火)の4月雇用動態調査(JOLTS)、7日(金)の5月雇用統計は、労働需給の状況や潜在的なインフレ圧力の状況を確認するための最重要統計の一つです。

日本では3日(月)の1-3月期法人企業統計季報、5日(水)の4月毎月勤労統計が重要です。法人企業統計は設備投資や在庫投資に関するGDPの基礎統計です。この結果を受けて各社が24年1-3月期のGDP見通しの改定を行います。毎月勤労統計では引き続き実質賃金の動向が注目を集めそうです。

日銀の金融政策面では、6日(木)の中村日銀審議委員のコメントが注目されます。中村委員は「中小企業の賃上げ余力の高まり」を確認する必要があるとして、24年3月の会合でマイナス金利の撤廃に反対しました。

ユーロ圏では6日(木)、ECB(欧州中央銀行)が金融政策理事会を開催します。市場では広く0.25%ポイントの利下げが予想されています。ただし、その後の利下げペースに関しては加盟各国の中銀総裁など、ECB高官の間でも見方が定まっていないと見受けられます。このため、今後の政策経路に関してラガルド総裁がどのような見方を示すかが注目されます。 

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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