日銀は金融政策を据え置き、国債購入の減額方針決定も具体策は次回会合

日本銀行は2024年6月13-14日に金融政策決定会合を開催し、事前予想通り政策金利の据え置きを決定しました。注目された長期国債の購入額は、月間6兆円程度のペースを維持することを決定しました。その上で、「長期金利がより自由な形で形成されるよう」、市場参加者の意見を確認したうえで、次回の決定会合で今後1~2年程度の具体的な減額計画を決定することを明らかにしました。市場では長期国債買い入れ額の減額予想が高まる一方で、具体的な枠組みが見えないことが嫌気され、米10年国債利回りが低下する中でも、日本の長期国債利回りは上昇(価格は下落)基調にありました。日銀が、①事前に債券市場参加者の意見を聴取すること、②最低でも1~2年の時間をかけて減額する意向であること、➂次回会合で計画を明らかにすること、を示したことで、国債市場における不透明感が後退することが期待されます。

日銀の発表を受けて10年国債利回りは0.94%、同じく20年国債利回りも1.71%程度と、発表前と比べて約0.3~0.4%ポイント低下、日経平均は前場引け値から190円程度上昇して後場の取引が開始されています。一方、ドル円レートは1ドル=157円20銭前後から158円目前までドル高円安が進行しました。

現在、日銀の金融政策ツールは無担保コール翌日物金利であり、長期国債の買い入れは政策ツールではありません。市場では次回7月会合での利上げ予想が高まっていますが、声明文から日銀が利上げに対して更に前向きになっている様子は確認できません。ただし、今後更に円安が加速する事態になれば、早期利上げ観測が高まることが予想されます。一方、長期国債購入額に関しては、為替動向と絡めた市場の思惑は鎮静化することが想定されます。日銀の国債保有額は約598兆円(6月10日時点)と、国債発行残高の半分弱を占めています。国債市場への無用なストレスを回避するため、日銀が国債購入額の減額に関して柔軟な枠組みを設定した場合、実際の運営に関して不透明感を残す結果となる点には注意が必要です。

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(注)データは日次で、直近値は2024年6月13日。 (出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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