(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

11日の米国株式市場では、NYダウが反落しましたが、S&P500やナスダック総合は上昇し、史上最高値を更新しました。5月消費者物価指数やFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表を翌日に控えて様子見姿勢が強まり、朝方は軟調に推移しました。しかし、基本ソフト(OS)への生成AI(人工知能)の導入を前日に発表し、買い替え需要が高まると見られたアップル(AAPL)が上昇し、情報技術セクターの株価を押し上げました。また、午後1時発表の米10年国債の堅調な入札結果を受けて米10年国債利回りが低下する中、情報技術など金利敏感セクターが上昇し、全体をけん引しました。

相場の注目点

為替相場では、米国金利が低下する中でも円安ドル高が継続しています。11日の米国市場でも、米10年国債利回りが一時4.39%と、前日比0.08%程度低下する場面もありましたが、円は1ドル=157円前後の水準を維持しました。米景気の軟着陸期待が根強く、景気減速を示唆する経済指標が相次いでも、景気が大幅に失速し、米金利の大幅低下及び米株安となるリスクは小さいと見られています。米国の株価上昇が続く中、低金利の円を借りて高金利資産に投資する円キャリートレードも円安要因となっており、しばらくは円安ドル高傾向が継続しやすいと見ています。足元では短期金利の金利差がドル円相場のドライバーになっており、日米の金融政策の方向性が引き続き注目されます。日本では13日~14日に日銀金融政策決定会合が開催されます。今会合では、政策金利の据え置きが見込まれる中、国債買入れ減額が焦点となっています。国債買い入れ減額や追加利上げを同時に進めた場合には、債券市場のボラティリティ(変動性)を高める可能性が指摘されています。日銀がどのような方針を示すのか、注目です。

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)データは日本時間2024年6月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

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