来週の注目点:主要国の6月PMI速報値と日米中のハードデータ

6月に入って続いてきた主要中央銀行の金融政策決定会合もようやく一山超えました。ECB(欧州中央銀行)、BOC(カナダ中央銀行)は利下げを実施した一方、FRB(米連邦準備理事会)、日本銀行は政策金利を据え置きました。注目されていたFRBの政策金利見通し(中央値)は、24年中の利下げが前回3月時点の3回から1回へ修正されました。市場ではFRBの見通し変更に大きなサプライズはなく、同日公表された5月コア消費者物価指数(CPI)の減速が好感され、株高、金利低下、ドル安で反応しました。

今週、米国では18日(火)に5月小売売上高、5月鉱工業生産、20日(木)に5月住宅着工・建設許可件数、21日(金)に5月中古住宅販売件数と注目度の高いハードデータ(実際の経済活動を表すデータ)の発表が予定されています。米国では24年に入って、特に個人消費関連で利上げの影響を示す経済指標が散見され始めました。この点では、住宅関連統計の結果が注目されます。また、目先の景気動向を見極めるうえでは、6月のNY連銀(17日(月))やフィラデルフィア連銀(20日(木))の製造業景気指数、21日(金)発表の米国を含む、主要国の6月PMI速報値が市場の関心を集めると見られます。

日本では17日(月)の4月機械受注、19日(水)の5月訪日外国人客数、21日(金)の5月全国消費者物価指数が注目度の高い指標として挙げられます。19日(水)の4月日銀金融政策決定会合議事要旨では、円安への懸念や利上げ以外の政策オプションに対する議論の状況が注目点として挙げられます。

中国では17日(月)に5月小売売上高、鉱工業生産、1-5月固定資産投資・不動産投資と、重要なハードデータの発表が予定されています。中国経済の本格的な復調には不動産市況の改善が必要条件だと見られるため、最も市場の関心を集めるのは不動産投資の行方だと思われます。 

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

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