6月米雇用統計は、雇用者増加数が85万人増と市場予想を上回ったが、労働参加率は61.6%で横ばいと、労働供給制約への懸念解消には至らない内容となった。雇用増加の上振れについても、民間ではなく州及び地方政府の雇用増による部分が大きく、失業率も予想外に上昇した。失業率の上昇や労働参加率に改善が見られなかったことは、FRBの金融政策正常化を見込む向きにとっては失望を誘う内容と言える。とはいえ、7-9月期にかけては、失業給付上乗せの段階的縮小や学校の再開など、労働供給正常化につながる動きが期待される。テーパリング開始に向けた議論は一段と活発化する可能性が高く、利上げ期待も維持されやすいだろう。金融政策の方向性の相違に対する注目が再度高まる中、ドルは堅調な推移が見込まれる。

 米国では7日(水)FOMC議事要旨が注目イベントとなる。6月FOMCでは23年中に2回の利上げがドッツ中央値で示されるなど、タカ派サプライズが生じたが、23年のドッツは参加者により大きく分かれている。テーパリング開始時期や利上げについての見解がどの程度集約しつつあるかを確認したい。また、住宅価格上昇への警戒感が一部FOMC参加者から示される中、MBS購入のテーパリング開始を前倒す可能性などについて、議論が見られたかどうかも重要だ。

 日本では8日(木)国際収支では直接投資の回復傾向が維持されているかどうかが注目される。

 9-10日(金-土)G20財務相・中銀総裁会合では、法人税の実効税率を「15%以上」に設定することで原則合意となる可能性があるが、アイルランドやハンガリーなどは枠組みへの合意に参加していないとされ、実効性への不透明感も残る。目先の為替相場の反応は限定的だろう。

※2021年7月5日発行「国際金融為替ウィークリー」より一部抜粋
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ご投資にあたっての注意点