※画像はイメージです。
旺盛なAI需要によりデータセンター新設が相次ぐ
データセンター(以下DC)とは、大型のデータサーバーや通信装置を大量に設置し、データを処理・保存する専用施設です。近年、クラウドサービスの普及や旺盛なAI需要などにより、DCの重要度は更に増しています。足元ではGAFAMを中心とした海外大手インターネット企業や、国内通信大手企業が相次いで日本国内のDCへの新設や投資を発表しています。
日本にDCを置く利点
DCの稼働には非常に多くの電力が局地的に必要です。日本は関西を中心に原子力発電所を用いた安定的な電力供給が可能であり、これを理由に多くの米国大手IT企業が日本のDCへの投資を活発化させています。また、海外と通信を行う際には、そのほとんどが海底ケーブルを通じて行われます。日本にDCを置くことで、アジア諸国に海底ケーブルを敷設するための経由地点としても有利になります。加えて、経済安全保障の観点から、データを国外に持ち出すことに対して厳しい制限をかける機運が高まっています。これらを背景として、2024年6月末時点で米国大手IT企業が発表した日本国内のDCへの投資額は総額で約4兆円となり、今後も拡大していくことが予想されます。
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(注) 全てを網羅しているわけではない。赤字で示した金額は概算の設備投資額。HDはホールディングスの略。APLは米不動産投資・開発のアジア・パシフィック・ランドグループの略。Asa合同会社はGoogleの関連企業と報じられている。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
DC構築には多くの企業が関わる
DCの構築には、サーバーに用いられるGPUや、GPUの高熱な排気からDC内を低温に保つための空調・冷却設備、大量に使用される電力を効率的に使用するための変圧器、停電に備えた自家発電設備やUPS(無停電電源装置)、DC内やDC間のネットワークを構築するための光ファイバーやそれを施工するための電気・通信工事事業など、関連する部材や事業者は多岐に渡ります。日本国内のDCへの投資拡大は、関連企業の業績拡大につながると期待されます。
(注)全てを網羅しているわけではない。図はイメージ。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
ご参考:国内データセンター関連銘柄の一例
■サーバー
- ニデック(6594)
サーバー用半導体の水冷式装置を手掛ける。 - エヌビディア(A2369/NVDA US)
GPUのトップメーカーで、AI用半導体で世界トップシェアを誇る。
■ネットワーク構築
- 古河電気工業(5801)
海底ケーブルの遮蔽材に使用される高純度の無酸素銅で世界首位級のシェアを誇る。 - 住友電気工業(5802)
DC向けの超多心光ケーブルにおいて世界トップレベルの開発力を有する。 - フジクラ(5803)
光ファイバー同士をつなぐ光ファイバー融着接続機において、世界トップシェアを誇る。 - 日本電気(6701)
海底ケーブルの製造や敷設を行い、世界シェア首位級を誇る。
■ファシリティーその他
- きんでん(1944)
DC内の屋内線工事でトップシェアを誇り、配電設備の建設・改修も手掛ける。 - 高砂熱学工業(1969)
大量に電力を消費するDCにおいて、省エネ空調システムに強みを持つ。 - 日立製作所(6501)
送電・配電設備事業で世界トップシェアを誇り、DC内に配置する非常用発電装置なども手掛ける。 - 富士電機(6504)
DC向けの自家発電用発電機、UPS(無停電電源装置)などを手掛ける。 - 三菱重工業(7011)
原子力発電システムやガスタービンなどのエネルギー事業を手掛ける。 - 武蔵精密工業(7220)
非常用電源に使用する蓄電装置を手掛ける。 - 関西電力(9503)
稼働中の原子力発電所を複数有し、安定した電力供給が可能である。
(注1)全てを網羅しているわけではない。
(注2)外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。
(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 清水 奎花)