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ドル円相場のチャート分析
再び円安ドル高が進行中
2024年9月中旬から円安ドル高が急速に進行しています。米国景気に対する過度な懸念が和らぎ、市場での米国の大幅利下げ観測が後退したことに加え、米大統領選での共和党トランプ氏優勢との見方(いわゆるトランプ・トレード)が円安ドル高進行に拍車を掛けた模様です。
チャート面から見ると、ドル円相場は24年7月3日に1ドル=161.94円の高値を形成後に急落し、9月17日には140.34円まで下値を切り下げましたが、その後は反発に転じ、10月下旬には7~9月の下落幅の半値戻し水準(151.14円)や52週移動平均線(11月6日:150.40円)、22年10月高値(150.48円)や23年11月高値(151.80円)など多くのフシが集中する150~152円の価格帯を上抜けてきました(図表1、2)。強固な上値の壁と見られた同水準を難なく突破したことは、足元の円安(ドル高)圧力の強さを物語るものと言えそうです。
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(注1)直近値は2024年11月6日時点。数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が含まれておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成
(注1)直近値は2024年11月6日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。
(出所)日本銀行より野村證券投資情報部作成
二番天井形成に向けた動きか
一方、長期チャートを見ると、ドル円相場はこれまで7~9年ごとに天井(円安のピーク)を形成してきたサイクル高値を、24年7月高値(161.94円)で付けた可能性があることには注意が必要です。前回のサイクル高値となった2015年6月高値(125.66円)から24年7月高値までで、すでに約9年(110ヶ月)が経過しています。1970年代以降から続く相場のリズムに従えば、さらなる日柄延長は考えにくい時間帯に入っています(図表3)。その場合、今回の9月中旬以降の円安ドル高の動きは、24年7月高値(=天井)に次ぐ二番天井の形成に向けた動きと捉えることが妥当となります。今回の米国大統領・議会選挙の結果はドル高要因と捉えられますが、チャート面からは、ドル円相場がこの先24年7月高値(161.94円)を更新して円安進行に歯止めが掛からなくなる、という円安加速シナリオの実現性は高くないと見ています。
(注1)直近値は2024年11月6日。 数値は日銀公表値で東京市場、取引時間中ベース。(注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(注3)日柄は両端含み。
(出所)日本銀行、日本相互証券、FRB、Wall Street Journalより野村證券投資情報部作成
(野村證券投資情報部 山内 正一郎)