(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
11日の米国株式市場では、主要3指数が揃って続伸し、史上最高値を更新しました。前週の米大統領・議会選挙でトランプ候補の再選と、上下院で共和党が優勢となったことを受けて、次期政権の政策が景気を押し上げるとの期待が相場を下支えしました。個別銘柄では、次期政権の規制緩和への期待からテスラ(TSLA)が大幅高となりました。他方、米商務省が中国向け先端半導体の出荷を停止したと伝わった半導体受託生産のTSMC(台湾積体電路製造)の株価が下落したことに伴い、半導体関連株の多くが軟調となりました。なお、債券や外為市場はベテランズデーのため休場でした。
相場の注目点
トランプ候補の再選を受けた「トランプ・トレード」はしばらく継続すると見られますが、次第に、次期政権における期待とリスクを足元の経済環境と金融政策に織り込む相場展開に移行すると見ています。次期政権が志向する減税や規制緩和は景気を後押しする一方、関税引き上げなどの通商政策、移民規制はいずれもインフレ圧力を高め、かえって経済成長を下押しする可能性もあります。本日は、米国で複数のFRB高官の講演が予定されており、次期政権の政策によるインフレ懸念についての発言が焦点となります。また、13日発表の10月米消費者物価指数や、15日発表の10月米小売売上高にも注目です。これらの経済指標で市場予想を上回る結果が示された場合には、FRBの利下げペースが緩やかになるとの観測が円安ドル高圧力になる可能性があります。他方、日本では、佳境を迎える4~9月期決算発表が相場を動かす材料になりそうです。本日は、住宅、建設、食品、飲料、電気機器、金融、エネルギーなど幅広い業種の企業が決算発表を予定しています。
(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)
(注)データは日本時間2024年11月12日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。