(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
米国の10月CPI(消費者物価)は総合指数が前月比+0.2%、食品・エネルギーを除くコア指数が同+0.3%と、いずれも市場予想と一致しました。総合指数は4ヶ月連続、コア指数は3ヶ月連続で同率の伸びとなりインフレ鎮静化の動きが足踏みしていることを示しました。ただし、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁はこの結果に対して、「インフレ率が当局の2%目標に向かって低下しているのを裏付けている」と指摘、複数の地区連銀総裁も利下げ継続姿勢を示しています。このため、市場では12月の利下げ観測が高まり、米国債市場では短期金利中心に金利が低下しました。米国株式市場では大統領選という一大イベントを無事に通過しVIX指数が低下基調にありますが、主要3指数は横ばい圏の推移に留まり、「トランプトレード」に一服感が見受けられます。
相場の注目点
各種メディアは下院も共和党が過半数を獲得した模様だと伝えています。このため、大統領から上下両院まで共和党が制する「トリプルレッド」の実現が確実となりました。米大統領選挙が早期決着したことから、足元でトランプ陣営による政府高官の人選が進んでいます。トランプ氏は腹心を中心に脱炭素否定、反移民などの分野で強硬派と見られる人選を行っています。また、国務長官や国連大使、駐イスラエル大使など外交・軍事面の人選を優先しているとの特徴が見受けられます。トランプ氏は昨日、国防長官にFOXニュースの司会者ピート・ヘグセス氏を指名しましたが、国防関連の経験が乏しく上院での承認が疑問視されています。第1次トランプ政権時代とは異なり、ウクライナ紛争や中東情勢の悪化など地政学的リスクが高まっている点を踏まえると、国際政治や安全保障面での摩擦が大きくなれば、為替市場を筆頭に金融市場の不安定化につながりかねない点には注意する必要がありそうです。
(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)
(注)データは日本時間2024年11月14日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。