来週の注目点:氷見野副総裁、FRB高官の講演と中国の主要統計
1月23日(木)-24日(金)に日本銀行の金融政策決定会合、28日(火)-29日(水)にFOMCを控えて、今週は日米の金融政策に対する手掛かりを探る展開となりそうです。
日本では14日(火)に氷見野日銀副総裁が神奈川県金融経済懇談会に出席、会合後には記者会見を行う予定です。少なくとも黒田氏が日銀総裁に就任した2013年以降、1月の決定会合前に政策委員が懇談会を開催した例はなく、市場では利上げに向けた地ならしが行われるのではないかとの見方が高まっています。このため、氷見野副総裁の発言に変化が見られない場合には失望感から円安が進行するリスクがあります。
米国では18日(土)からFOMC前のブラックアウト期間(金融政策に対する公式発言の自粛期間)入りを控えて、多くのFRB高官の講演が予定されています。FRBは24年9月から利下げ局面入りしましたが、それ以降、米国景気の堅調推移とインフレの粘着性を示す経済指標が相次いだことに加え、トランプ次期政権の掲げるインフレ的な政策に対する警戒感から、FOMC内では利下げに慎重な機運が高まっています。FRB高官の講演では、今後の利下げ時期やペースに対する手掛かりとして、景気とインフレに対する評価に加えて、トランプ次期政権の政策を自身の政策金利見通しにどの程度織り込んでいるかが注目されます。
ECBは16日(木)に24年12月の金融政策理事会の議事要旨を公表します。ユーロ圏では景気下振れ懸念が高まっていることから、ECBは利下げに積極的な姿勢を示すことが予想されます。
中国では17日(金)に24年10-12月期の実質GDP成長率、12月小売売上高と鉱工業生産、1-12月固定資産投資・不動産投資が発表されます。11月の小売売上高は前年比+3.0%と減速し、政府の自動車・家電製品買い替え支援策の影響が剥落した可能性が示唆されました。12月の主要統計が市場の景気減速懸念の緩和につながる結果となるかが注目されます。
(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
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