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2025年1月中旬に発表された米大手3行(JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ)の2024年10-12月期の決算は、各行とも純収益と調整後1株利益が前年同期比で増加し、市場予想を上回りました。金融機関の決算内容については、下記の2点が注目されていました。

①純金利収益
②貸倒率

米大手3行の2024年10-12月期の純金利収益実績は、それぞれ市場予想を上回りました。下図の赤色の線の3行の純金利収益は、過去においては米長期金利水準との相関が高いといえそうです。2024年9月以降の金利上昇が純金利収益の増加に寄与したと考えられます。

(注)米大手3行は、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、シティグループ。米大手3行の純金利収益のデータは四半期毎で直近値は2024年10-12月期時点で、2025年以降はLSEG集計による2025年1月16日時点の市場予想平均。米10年国債利回りのデータは日次で直近値は2025年1月16日時点。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

JPモルガン・チェースは2024年9月に、FRBによる利下げや長期金利の低下を背景に、2025年12月期通期の同社に対する市場の純金利収益の見通しは楽観的過ぎる、とコメントし、同社の株価は下落しました。2025年1月の2024年10-12月期の決算発表時に同社が示した2025年12月期通期の純金利収益は940億ドルと、市場予想に反し2024年通期の931億ドルから増加する見通しです。

非金利収益は米大手3行合計では、投資銀行部門は投資助言や株式引受が堅調で前年同期比、前四半期比とも増収でした。また、トレーディング部門は前年同期比では増収で、前四半期比ではやや減収でした。堅調な企業のアクティビティが好調の背景にあると考えられます。

JPモルガン・チェースの2024年10-12月期の貸倒率は全社ベースでは0.73%で、市場では2025年末にかけて低下すると予想されています。また、カード事業の貸倒率について同社は、2024年12月期通期の3.34%から2025年通期は3.6%程度に上昇するとの見通しを示しました。市場の一部で懸念された貸倒率急上昇の兆候は今のところ見られません。

下図は、米国の民間非金融部門債務の対GDP比率と米家計利払い額の対可処分所得比率です。いずれも分母のGDPと可処分所得の増加により、コロナ禍前の水準を下回っています。過去との比較では、信用の過剰な膨張期、いわゆるバブルのピークの状況にはないと考えられます。

(注)米民間債務は企業部門と家計部門の両方を含む。
(出所)BIS、FRBより野村證券投資情報部作成

好景気により金利が高止まりし、堅調な雇用環境などによりローン支払い能力が維持される状況の継続は、金融機関の業績には追い風といえそうです。

ご投資にあたっての注意点