※執筆時点 日本時間2月21日(金)12:00

■今週:関税は重石だが、FOMC議事要旨の内容が追い風

※2月15日(金)- 2月20日(木)4営業日

トランプ政権の関税政策を巡る不透明感は重しとなりましたが、米国企業の業績拡大への期待は強く、S&P500指数は19日(水)に史上最高値(終値ベース)を更新しました。

19日の同指数最高値更新の背景には、同日午後に公表された1月のFOMC議事要旨があります。債務上限問題が解決するまでFRB(米連邦準備理事会)が米国債などの保有資産を圧縮する量的引き締め(QT)の一時停止または減速させることを検討したことが示されると、方針転換の検討がハト派的(金融緩和的)と捉えられました。結果、同日の米長期金利(10年国債利回り)が低下し、株価上昇に寄与しました。

■来週①金融政策の方向感を探る週に

ここ1ヶ月を見ると、米長期金利は4.5%前後で一進一退となっており、方向感は出ていません。市場は依然として材料を見極めている最中とみられ、来週では28日(金)の1月PCE(個人消費支出)デフレーターが注目されます。市場予想は前月比+0.3%(12月同+0.2%)と、加速が予想されています。市場予想を上振れた1月のCPI(消費者物価指数)及びPPI(生産者物価指数)のデータが反映されているとみられます。

”タカ派”FRB高官の発言にも注目

FRB高官の発言では、タカ派とみられるFRB高官、25日(火)のローガン・ダラス連銀総裁、27日(木)のハマック・クリーブランド連銀総裁、シュミッド・カンザスシティ連銀総裁の講演に注目が集まります。

注)野村セキュリティーズ・インターナショナルの政策姿勢についての評価。「FRB」は本部理事、地名は地区連銀名。「V」は25年の投票権を持つFOMC参加者であることを示す。FRB本部理事とニューヨーク連銀総裁は常に投票権を持つ。「26年」は2026年に投票権をもつことをを示す。フィラデルフィア連銀ハーカー総裁は25年6月に退任予定。
出所: 野村セキュリティズ・インターナショナルより野村証券投資情報部作成

ローガン総裁は、従来、短期市場での資金余剰感が依然として強いためQT継続が望ましいとの考え方を示しており、前述のFOMC議事録との整合性に注目が集まります。目先で一旦QTを停止することを示唆したとしても、債務上限問題が解決すればQTを再開するとの方針を示せば、従来の考え方に沿うと言えます。

ハマック総裁やシュミッド総裁の講演では、利下げに慎重な姿勢をどこまで強めているかが注目されます。仮に、利下げが終了したとの見方をFOMC参加者として初めて提示することがあれば、株価にとっては下押し圧力となります。

■来週②26日(水)にエヌビディア決算発表

情報技術や小売企業の2024年11月-2025年1月期決算発表が多数予定されています。26日(水)には半導体大手エヌビディア(NVDA)が発表予定で、足元の業績動向に加え、新製品の出荷状況についてのアップデートが注目されます。

競合の決算発表で警戒感強まる

市場が同社決算に警戒感を強めている背景には、2月4日に発表された競合アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の2024年10月-12月期決算発表があります。当社は売上高の実績・見通しともに市場予想を上回ったものの、データセンター部門の売上高実績が市場予想(40.9億ドル)を下回る38.6億ドルとなり、AI向け半導体の成長期待に届かない内容だったことから、同社の株価は4日の時間外取引で一時8%超下落しました。

ディープシークショックからの完全回復なるか

AMDの競合であるエヌビディアの株価も、年初来高値(1月7日場中/153.13ドル)より1割ほど低い140ドル前後で推移しており、ディープシークショックから回復しきってはいない状態です。依然として半導体製造装置メーカーや半導体製造受託企業の決算ではAI需要は旺盛であることが確認されており、データセンター向け成長の鈍化がAMD固有のものであり、同部門の成長が続くことが確認できれば、再度最高値挑戦の可能性も見えてきます。

エヌビディアの前回決算が以下にリンクされていますので、ぜひご参考にしていただければ幸いです。

※「来週の米国株」シリーズは今回を以て終了となります。ご愛読いただきましてありがとうございました。今後も、米国株の情報については決算発表シーズンやマーケット変動局面など適時適切なタイミングで発信してまいります。引き続きご活用いただければ幸いです。

(投資情報部 デジタル・コンテンツ課)

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