
第一印象はネガティブ、ただし安倍元首相への敬意に注目
トランプ大統領が米国時間4月2日(日本時間4月3日午前5時過ぎ)に発表した相互関税は、一律10%としながらも、日本向け24%、中国向け34%、EU(欧州連合)向け20%と、事前報道の15~20%を上回る内容でした。このため、第一印象はややネガティブでした。野村の試算によると、関税が25%に引き上げられた場合、TOPIX(東証株価指数)全産業の経常利益は前期比で7.7%減少すると見込まれます。
今後は関税適用除外に向けた交渉が注目される見通しです。トランプ氏は会見で、日本が実質的に米国に46%の関税を課している上、コメには700%の関税をかけていると批判しました。ただし、安倍晋三元首相やソフトバンク(9434)の取り組みを評価する発言もあり、交渉への期待をある程度感じさせる内容でした。
当初、10%というヘッドライン(見出し)で米国株の先物指数は大きく上昇しましたが、その後EU向け20%などの詳細が発表されると下落に転じました。相互関税の発表前に取引を終えた2日の米国株式市場では、材料通過を待つ心理が垣間見え、反転的な動きが目立ちました。
会見では、関税強硬派のバンス副大統領の功績が強調される場面があり、今後も強硬派と慎重派のパワーバランスによって市場心理が揺れる展開が予想されます。また、2月中旬以降の株安局面では、「トランプ・プット」への期待を否定する発言がトランプ大統領や政権幹部から相次ぎ、政権の政策に対する不確実性は依然高い状況です。
2026年11月の中間選挙を見据えると、いずれ関税緩和や減税に焦点が移ると考えられます。具体的な時期の特定は難しいものの、過度なリスク回避を避けながら、時間分散やリスク分散を活用することで、コーポレートガバナンス(企業統治)改革や値上げ、国内生産回復に伴う増益が期待できる日本企業への投資機会が広がる可能性があります。また、日本銀行の早期利上げ期待の後退も注目すべきポイントです。
今後の日米交渉では、円安効果の評価に加え、日本からの対米投資やLNG(液化天然ガス)、防衛品の輸入に関するディール(取引)が注目されます。
(編集:野村證券投資情報部 デジタル・コンテンツ課)
編集元アナリストレポート
Quick Note – 日本株朝メモ:相互関税24%の第一印象 – ネガティブ、ただし安倍元首相への敬意に注目(2025年4月3日配信)
(注)各種データや見通しは、編集元アナリストレポートの配信日時点に基づいています。画像はイメージ。