
来週の注目点:トランプ関税、日米中の景況感調査・雇用指標
引き続き、トランプ大統領の言動に相場が揺さぶられる展開が見込まれます。4月2日には、貿易相手国と同水準の関税を課す相互関税の発動が見込まれています。また、4月3日(木)には、米国が輸入するすべての自動車に25%の関税が発動されます(現状の2.5%からスタート)。米国内の工場で組み立てた自動車は対象にならない見通しです。トランプ大統領は、相手国の出方次第では軽減措置があることを示唆しており、実際の関税措置がどのようなものになるか、注目が集まります。
米国の金融政策に関しては、3日(木)にジェファーソンFRB副議長、4日(金)にパウエルFRB議長の講演が予定されています。パウエルFRB議長は、3月FOMCで「利下げを急ぐ必要はない」との従来の姿勢を維持しながらも、トランプ政権の高関税政策を受けて「不確実性が異常なほどに高まっている」と指摘し、警戒感を示しました。高まる市場の利下げ期待に対して何らかの示唆を与えるか、注目です。
また、米国では月初の重要指標の発表が相次ぎます。1日(火)に3月ISM製造業景気指数、2日(水)に3月ADP全米雇用レポート、3日(木)に3月ISMサービス業景気指数、4日(金)に3月雇用統計が発表されます。足元で景気減速の兆しが見受けられることから、経済指標の結果が改めて注目されます。

日本では1日(火)に日銀短観(3月調査)が発表されます。同統計は調査対象、調査内容ともに広範囲に及び、政策判断にも影響力の大きい調査です。市場では、トランプ政権の関税引き上げや中国経済の低迷を受けて製造業の業況判断DIの悪化が見込まれています。

中国では、3月31日(月)に3月政府版PMIが発表されます。2月以降に発動された米国の追加関税の影響が懸念される一方、中国政府による内需喚起策が景気を下支えするとみられます。

(野村證券投資情報部 坪川 一浩)
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