(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

15日の米国株式市場では、経済指標が景気減速リスクの高まりを示唆したことが嫌気された一方、利下げ観測が強まったことでサポートされる展開となりました。S&P500指数は4営業日連続で続伸する中、過去1ヶ月間にアンダーパフォームしてきた高配当のディフェンシブ銘柄が先行される展開となり、大型テクノロジー株の大半が下落しました。米国債利回りは大幅に低下、為替市場では米ドルがスイスフランや円などリスク回避先と目される通貨に対して下落、米ドル円相場は一時145円台前半を付けました。

相場の注目点

4月のPPI(生産者物価)は前月比-0.5%と約5年ぶり大幅な落ち込みとなりました。主因は航空機や宿泊料金の低下であり、トランプ政権による政策がサービス需要の低迷を引き起こしていることを示唆しました。4月の小売売上高は同+0.1%と3月の同+1.7%から失速し、関税引き上げ前の駆け込み需要が一巡し、消費者が財布の紐を引き締めている姿を示唆しています。今後、トランプ政権の関税政策は各国との個別交渉と、品目別関税へと重心が移行すると見込まれます。現時点でトランプ政権は、10%の一律関税と鉄鋼・アルミニウム製品など、品目別関税は維持する方針のようです。このことは、仮に各国との貿易交渉が進展した場合でも、米国の実効関税率が10%台で高止まりする可能性が高いことを意味しています。米国小売業にとって最も重要なクリスマス商戦に絡んだ輸入は、例年年前半から夏場までがピークとなります。株式市場では貿易交渉の進展を歓迎するムードが高まり、4月2日の相互関税発表後の下落分を概ね取り戻していますが、景気下振れリスクへの警戒が怠れない状況が続きそうです。

(野村證券 投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2025年5月16日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点