
来週の注目点:FRB高官発言、5月PMI速報値、日米財務相会合
予想を上回る米中貿易協議の進展を受けて、市場のリスクセンチメントは大幅に改善、世界的に株価が反発しました。米中は相互の関税率を90日間引き下げることで合意しましたが、第1次トランプ政権当時は、米中協議が合意に達するまでに1年半もの時間を要しました。今後は、半導体や医薬品など品目別関税が導入される可能性もあります。トランプ関税を巡る不確実性は一息ついたとは言え、まだまだ安心できない状況が続きそうです。
米国では今週も多くのFRB高官の講演が予定されています。5月FOMC以降のFRB高官の発言を確認すると、トランプ政権の関税政策を巡る不確実性が高い中で、政策変更を急ぐ必要はないとの見方がコンセンサスのようです。現時点では駆け込み輸入を除き、実際の経済活動を補足したハードデータに関税の悪影響が確認できないことから、FRB高官の政策スタンスが大きく転換する可能性は低いと見受けられます。
経済指標では22日(木)の5月PMI速報値に加え、同日と23日(金)の4月の住宅販売関連統計が注目されそうです。

日本では22日(木)に野口日銀審議委員の講演が予定されています。野口委員は日銀内ではややハト派(金融緩和重視)と位置付けられることから、利上げに前向きな内容であった場合は、市場にとってはサプライズになりそうです。
経済指標では、22日(木)に5月PMI速報値、23日(金)に4月全国消費者物価指数が発表されます。前者では、トランプ関税に対する企業の不安心理の緩和が確認できれば、市場のリスクセンチメント改善に寄与することが期待されます。

20日(火)から22日(木)にかけて、G7財務相・中央銀行総裁会議が開催されます。加藤財務相は、この場を活用し、米国のベッセント財務長官と為替について協議する意向を示しています。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)
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