
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
5月21日の米国株式市場では、主要3指数が大幅に下落しました。トランプ政権の減税案が通過した場合の財政赤字の増加が懸念され、米国債が売られて長期金利が4.6%台へ急上昇したことが株式市場の重石となりました。また、朝方発表された小売りのターゲットの25年2-4月期決算では、売上高や収益見通しが市場予想を下回りました。関税引き上げや金利の上昇が消費を下押しするとの懸念が広がりました。外国為替市場では、米長期金利の急上昇を受けたリスク回避的な動きや、現在開催中のG7財務相・中央銀行総裁会議に合わせて行われる日米の財務相会談でドル高の是正が求められるのではとの思惑から、一時1ドル=143円台前半まで円高ドル安が進みました。
相場の注目点
トランプ政権の政策や、景気動向、インフレを巡る不透明感が再び強まっています。世界的な株価の大幅反発をもたらした米中の相互関税率引き下げは、90日間の暫定措置です。第1次トランプ政権時には米中協議が合意に達するまでに1年半を要しました。中国を含む主要国と米国との通商協議には目が離せない状況が続きそうです。また、米議会で予算審議が活発化する中、法人税減税や、個人所得税減税の延長、連邦法定債務上限の成立など、政策の重心が財政政策へと次第にシフトすると予想されます。いずれも議会での可決が必要なことから、政策の実現は容易ではないと見られています。
本日のイベント
主要国で5月PMI速報値が発表され、米関税政策による景況感の変化を確認できます。ハト派(金融緩和重視)と目される野口日銀審議委員の講演では、景気や物価、最近の長期金利の上昇に対する見解が注目されます。
(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)


(注)データは日本時間2025年5月22日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。