
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
6月10日の米国株式市場では、主要3指数が上昇しました。米中の2回目の閣僚級貿易協議の行方が注視される中、翌日に5月米消費者物価指数(CPI)の発表を控えて様子見姿勢が強まり、方向感を欠く展開となりました。午後3時前(米国時間)に、ラトニック米商務長官が中国との貿易協議は「順調に進んでいる」と述べたことが好感され、米国株は上昇して取引を終えました。外国為替市場では、米中の貿易協議進展への期待から円安ドル高が進展し、1ドル=144円台後半で推移しています。
相場の注目点
トランプ政権の動向に左右される展開が続きそうです。相互関税の上乗せ部分の発動延期の期限(7月9日)が近付くにつれ、米国と一部の国・地域では協議が大詰めを迎えると見られます。足元では、米中貿易協議の進展が注目を集めます。米中の緊張が緩和に向かえば株式市場の支援材料となります。関税の悪影響はこれから本格化するため、企業業績の下方修正リスクには注意が必要ですが、今後、日米で景気対策が具体化に向かい、株価を下支えすると見ています。
他方、米国では、6月17日-18日にFOMCが開催されます。FRBは金融政策に関する公式発言を自粛するブラックアウト期間入りしているため、足元の米国景気や金融政策の方向性に関するヒントを得ようと経済指標に注目が集まります。本日は5月消費者物価指数(CPI)、12日に5月生産者物価指数、13日に6月ミシガン大学消費者マインド(速報値)が発表されます。最大の注目点はCPIです。関税引き上げによるコスト転嫁が次第に進み、向こう数ヶ月でインフレ率を押し上げると野村では見ています。
(野村證券 投資情報部 坪川 一浩)


(注)データは日本時間2025年6月11日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。