
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
23日の米国株式市場で主要3指数は揃って上昇しました。中東情勢を巡る警戒感が重石となるなか、朝方にFRBのボウマン副議長が早ければ7月の利下げを支持する発言を示し、相場は上昇に転じました。イランは同日、カタールの米軍基地に対する攻撃に踏み切りましたが、原油価格は急落し、NYダウは概ねプラス圏での取引となりました。市場では、イランによる報復攻撃が想定よりも限定的に留まり、中東情勢は緊張緩和へ向かうとの期待が広がりました。恐怖指数と呼ばれるVIX指数は下落し、為替市場では米ドルが売られ、ドル円相場は1米ドル=146円台前半まで調整しています。
相場の注目点
中東情勢を巡っては、米国による核施設攻撃を受けたイランの出方が注目されるなか、当初は事態がエスカレートし戦闘が長期化するリスク、またイランによる報復攻撃が海上輸送の妨害、海上要衝であるホムルズ海峡の封鎖に拡大するリスクも警戒されました。もっとも、イランは23日にカタールの米軍基地攻撃に踏み切りましたが、米国側によればイランから事前通告があった模様であり、象徴的な報復に留めたとみられます。さらに、現時点でイスラエルとイラン、双方から公式な発表はありませんが、トランプ大統領は日本時間24日午前7時すぎ、SNSに「イスラエルとイランが完全かつ全面的に停戦することで合意した」と投稿しました。中東情勢を巡る懸念は後退し、今後の焦点は再びトランプ政権の関税政策にうつるとみられます。
7月9日には相互関税の上乗せ分の猶予期間が期限切れとなります。現在、「IEEPA=国際緊急経済権限法」により発動した相互関税などについては、追加関税の差し止めを巡って裁判所での審理が続いていますが、トランプ大統領は6月11日、一方的に関税率を設定したうえで、「今後おおよそ1週間半か2週間以内」に各国・地域に書簡を送ると発言しています。関税政策を巡り新たな動きがあるのか注目されます。
(野村證券 投資情報部 引網 喬子)


(注)データは日本時間2025年6月24日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。