(注)画像はイメージです。

海外市場の振り返り

4日の米国株式市場でNYダウは6日ぶりに反発し、S&P500も5日ぶり、ナスダック総合は3日ぶりの反発となりました。8月1日発表の7月米雇用統計を受けて、NYダウは前週末に540ドルあまり下落しましたが、同時にFRBに対する利下げ観測が強まったことで株式市場は落ち着きを取り戻し、週明けの米国株式市場で早々に前週末の下落分を埋める結果となりました。為替市場では米ドルが主要通貨に対して上昇しましたが、米国債利回りが低下する中でNY時間終盤のドル円は下値模索の動きとなり、現在は147円前後で推移しています。

相場の注目点

米国の7月雇用統計は、雇用者数の増加ペースが予想以上に鈍化し、さらに過去実績が大幅に下方修正されるなど、関税政策による米国経済への下押し圧力がはやくも顕在化しつつあることを示唆する結果となりました。さらに、トランプ大統領は2025年7月31日に、4月発表の相互関税を修正する大統領令を発表しており、8月7日以降は一律10%の基本関税に加えて、貿易相手国・地域に対する新たな関税率が発効することになります。8月7日時点の平均関税率は17.5%程度になると試算され、2%台だった2024年時点から大幅に引き上げられることになります。米国のスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)懸念からドル安への警戒が高まる可能性には引き続き注意が必要です。また、FOMCの方針を見極める上では、ジャクソンホール会議および8月雇用統計の重要度が増していることに加えて、FRB人事が関心を集めています。クグラー理事が2026年1月の任期満了を待たずに8月8日付で退任することになりましたが、トランプ大統領が、後任にハト派的(金融緩和に積極的)な人物を指名し、その人物を2026年5月に任期切れとなるパウエル議長の後任に指名するとの見方が高まっています。

(野村證券 投資情報部 引網 喬子)

(注)データは日本時間2025年8月5日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

ご投資にあたっての注意点