
(注)画像はイメージです。
海外市場の振り返り
6日の米国株式市場で主要3指数は揃って反発しました。モバイル端末の製造販売とAI・クラウドサービス事業を行うアップル(AAPL)が相場をけん引したことに加え、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁やクックFRB理事が利下げを支持する姿勢を示したことを受け、FRBに対する早期利下げ期待が市場心理を下支えしました。アップルは同日、国内生産の拡大による1,000億ドル(約15兆円)の追加投資を発表し、トランプ政権による追加関税を回避できるとの期待から上昇しました。為替市場では米ドル安が優勢となり、ドル円相場は147円台前半で推移しています。
相場の注目点
前週の米雇用統計以降の米国株式市場は、米景気の下振れ懸念とFRBの早期利下げ期待が交錯する状況となっています。もっとも、米国のスタグフレーション(景気減速下でのインフレ高進)懸念が拭えない中、市場の期待ほどの積極的な利下げは期待しにくい可能性があり、さらなる利下げの織り込み余地も限定的とみられます。目先は来週発表される米国の7月消費者物価指数(CPI)や7月生産者物価指数(PPI)などの物価統計が注目されますが、一段の株価上昇には今後の経済指標によって、米国経済の堅調さが崩れていないことを確認することが必要になるとみられます。また、今後の金融政策を占う上では、FRB人事の行方も注目されます。クグラー理事(8月8日付で退任の意向)やパウエル議長(2026年5月に議長としての任期を満了)の後任人事次第では、積極的な利下げによってむしろ先々のインフレ期待が上昇するリスクがあるほか、ドルの信任低下につながるリスクもあります。市場ではFRB新議長候補としてウォーシュ元FRB理事、ハセットNEC委員長、ベッセント財務長官、ウォラーFRB理事の名前が挙げられましたが、ベッセント長官はすでにFRB議長職への検討を辞退したことが伝わっています。
(野村證券 投資情報部 引網 喬子)


(注)データは日本時間2025年8月7日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。