8月22日(日本時間23時)にパウエルFRB議長の講演を控えて、前週の金融市場は様子見の色濃い展開となりました。FRBが年内中に利下げを再開すると予想される中、市場の関心は2026年の利下げペースとパウエル議長の後任人事に移行しつつあります。FOMCにおける政策判断に際しては、議長・副議長を含む7名の理事とNY連銀総裁に加え、4名の地区連銀総裁が輪番で投票権を有しています。現時点で利下げを主張しているFOMC委員は2名であり、辞任したクグラー理事の後任を含めても、人事だけで政治が金融政策に介入する余地は限定的です。各委員の政策判断の変化が注目されます。

今週はダラス連銀ローガン総裁、NY連銀ウィリアムズ総裁、ウォラーFRB理事の講演が予定されています。ウォラー理事は早期利下げを支持する姿勢を明確にしていますが、残り2名は7月FOMC直前に利下げに慎重な姿勢を示していました。その後の景気動向を踏まえた政策判断の変化の有無が注目されます。

経済指標では25日(月)の7月新築住宅販売件数、29日(金)の7月個人消費支出・所得統計が注目されます。特にFRBは食品・エネルギーを除いたコア個人消費支出デフレーターをインフレ指標に位置付けているため、関税の影響の有無が注目を集めそうです。

日本では28日(木)に中川日銀審議委員の講演が予定されているほか、29日(金)には8月東京都区部消費者物価指数、7月鉱工業生産が発表されます。7月の貿易統計は関税の影響が自動車・同部品を中心に及んでいることを示唆する結果だったことから、生産実績に加え、業種ごとの生産計画が注目されます。

欧州では28日(木)に7月ECB金融政策理事会の議事要旨が公表されます。ECBは2024年6月以降、累計8回の利下げを講じてきましたが、25年7月には利下げを見送り様子見姿勢に転じています。利下げ再開の条件等が示唆されるかが注目点です。

(野村證券投資情報部 尾畑 秀一)

(注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2025年8月22日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
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