2021年度第2四半期決算発表シーズンでは、原材料価格高騰、サプライチェーン寸断、コロナ禍からの経済正常化、中国の景気減速懸念、などの諸問題が意識されました。決算を経ての2021年度通期業績の修正状況から、これら諸問題の業種への影響を探ってみましょう。

(1)原材料価格上昇が直撃した業種は?

 製品価格も連動して上昇したことから、化学(石油)は業績上方修正となりました。資源価格に業績連動性が高い商社にも恩恵が及ぶと考えられます。また、食品では価格転嫁が順調に進む見通しです。

(2)PPI > CPIの影響は?

 家庭用品、公益(電力)では、価格転嫁の不調/遅れなどで下方修正となりました。小売りでも同様の傾向に警戒が必要です。

(3)半導体関連企業の動向は?

 今回の半導体不足は旺盛な需要を背景にしており、電機・精密、機械(除くロボット・空圧機器)はむしろ上方修正となりました。さらに、原材料価格の上昇を克服し採算性も改善しました。

(4)半導体不足の他業種への影響

 自動車、電線(自動車部品)、ロボット、ソフトウェア(ゲーム)などでは生産に支障をきたし下方修正となりました。ただ、以前より販売不振だった一部の自動車会社では、売る車がなく販売奨励金が減少し業績上方修正となる「珍現象」がみられました。なお、自動車は11月より挽回生産がスタートしています。

(5)経済正常化が追い風となった業種は?

 住宅・不動産、医薬品、建設、メディアでは、経済活動正常化に伴い、住宅購入、通院、建設計画の再開、CM出稿等の急回復が確認され、業績上方修正、あるいは下方修正に歯止め、などが確認されました。

(6)経済正常化から取り残された業種

 ただ、運輸(空運/電鉄)など一部の業種では、経済正常化の恩恵がいまだ及んでいない模様です。

(7)中国の景気減速懸念

 2021年4-6月期より日本企業の業績の牽引役は中国から、欧米および一部新興国に移っており、中国由来の理由で業績が減速した業種は見られませんでした。

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