月日が流れるのは早いものです。今年もやってきました。毎年この時期に恒例の話題となる『干支』。2022年は「寅年」です。過去の寅年の金融・株式市場の動向が気になりますね。

 来年の干支は、正確には『壬寅(みずのえ・とら)』です。干支は「十干(じっかん)」と「十二支」の組み合わせで成り立っています。「壬」は十干の9番目、鍛造する台を表した象形文字で「支える」「担う」の意味があります。また、「壬」の字は「妊」に通じ、陽の気を下に宿す、土の下で新芽が膨らんでいる状態を指します。

 一方、「寅」は十二支の3番目で、動物は「決断力、才知」の象徴たる虎が当てられています。「寅」は弓矢を両手で引き絞る形を表した象形文字で「引っ張る」「伸ばす」の意味があります。また、「寅」の字は「螾(ミミズ)」に通じ、暖かくなると虫が活動を始めて、草木が芽吹き伸び始める状態を表しているとされています。「壬寅」の2022年は、新型コロナ禍を乗り越え、来るべきデジタル時代に向けて新たな成長を始める年と読み解くことができそうです。

 歴史を紐解くと、前回の「壬寅」は60年前の1962年。10月にキューバ危機(※旧ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚し、米国がカリブ海で海上封鎖を実施)が発生し、米ソ冷戦下の軍事的緊張が極まった年として記憶されています。60年の時を経て、覇権を競う超大国は当時の「米・ソ」から現在は「米・中」へと様相を変えていますが、両国の緊張関係が高まる年となるのか気になるところです。

 過去8回の「寅年」の日経平均株価の年間騰落率を見てみると、上昇した年と下落した年の割合は2勝6敗で、勝率ランキングは十二支の中で最下位、平均騰落率も+2.1%と低調です。ただ、1986年のように大幅高した年もあるほか、1950年や1974年のように中期的な上昇相場の起点となった年もあります。株式投資を始めるにはチャンスの年と言えそうです。

 十二支にまつわる兜町の相場格言には、『辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑い、亥(い)固まる、子(ね)は繁盛、丑(うし)つまずき、寅(とら)千里を走り、卯(うさぎ)は跳ねる』とあります。超低金利時代が続く中、「虎の子(≒お金)」の資産運用の重要性は一段と増しています。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」・・とはいえ、安易に動いて「虎の尾を踏む」のは避けたいところですが、千里を走る新しい時代の波に乗っていけるように、「虎視眈々」のスタンスで臨みたいものですね。

日経平均株価 干支別年間パフォーマンス

※勝率:上昇した年が占める割合

※「十干」とは、「甲(きのえ)・乙(きのと)・丙(ひのえ)・丁(ひのと)・戊(つちのえ)・己(つちのと)・庚(かのえ)・辛(かのと)・壬(みずのえ)・癸(みずのと)」。「十二支」と組み合わせた「干支」は60年周期で一回り(=還暦)する。

※株価指数(グレー表示)、1945年の株価騰落率は9~12月の株価が発表されていないため、1946年1月の株価を使用して算出。1950年(昭和25)以降は日経平均株価。2021年は11月30日まで(日経平均株価:終値27821.76円)。勝率が高い順番にランキング。赤丸は2022年の干支。

【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら

業種分類、Nomura21 Globalについて

ご投資にあたっての注意点