海外市場(12/10)の相場動向

11月の米CPIは前年比で歴史的な上昇率となるも市場予想並み

 10日の米国株式市場で、NYダウは前日比+216.30ドル(同+0.60%)の35,970.99ドルとなりました。S&P500指数は前日比+0.95%、ナスダック総合指数は同+0.72%と主要3指数は揃って上昇しました。寄り前に発表された11月の米消費者物価指数(CPI)が前年同月比で約39年ぶりの上昇率となったものの、コアCPIの同+4.9%はほぼ市場予想通りとなりました。この日は米10年債利回りが低下する中、主要3指数は揃って上昇しました。英国で新型コロナウイルスの新規感染数が1月以来の最多となったほか、米国内でも新型コロナウイルスの新規感染者が足元で増加基調となっていることが、株式市場の重石となる場面もありました。しかし、バイデン大統領が、インフレは「減速しつつある」と述べたことなどを好感し、主要3指数はこの日の高値圏で引けました。

本日以降の相場動向と注目点

日経平均先物CME終値は10日の日経平均株価の終値を上回る

 日経平均先物CME終値は28,560円となりました。日経平均株価の12~2月の配当落ち約52円を考慮した場合、実質的なCME終値は28,612円と試算され、日経平均株価の前営業日終値(28,437円)を上回る水準です。10日の東京市場では、前日の米国株式市場でテクノロジーセクターが軟調だったことを受け半導体関連株などが日経平均株価の重石になりました。10日の米国市場では半導体関連やテクノロジーセクターの上昇が目立ったことから、本日の東京市場ではこれらのセクターの値動きには注目が集まります。

オミクロン型変異株について

 英国ではオミクロン型変異株の感染力の高さが改めて報告されました。またジョンソン首相は2回のワクチン接種では十分ではないとし、ブースター接種を促しています。一方、欧州疾病予防管理センターによると、11日時点で欧州22ヶ国でオミクロン型変異株の感染者が合計732人確認されたが、大方は無症状か軽症としており、重症化率が低い可能性も考えられます。ブースター接種によりオミクロン型変異株に対する効果が期待できるとの見方も維持され、欧米先進国でワクチン接種ペースが再加速していることは経済活動には好影響だと考えられます。

日本で寄り前に日銀短観、機械受注が発表予定

 世界的にインフレ懸念が強まる中、日本でも企業物価の上昇が加速しています。日本では本日13日の寄り前に日銀短観(12月調査)、10月機械受注が発表されます。コスト負担の上昇を転嫁できない企業も多く、景況感が停滞する可能性があります。

米国で竜巻が発生し、各地で被害

 米南部・中西部一帯で10日から11日にかけて複数の竜巻が発生し、各地に被害を与えています。米メディアは全体の死者数が100人を超える恐れがあると報じており、アマゾン・ドット・コムの倉庫やフェデックスの物流拠点も被害を受けるなど、年末の物流に混乱を招くとの懸念が生じています。

今週は中央銀行イベントが続く

 今週はFOMC(14~15日)、ECB理事会(16日)、日銀金融政策決定会合(16~17日)と中央銀行イベントが続きます。米国では、インフレ高進や雇用市場がひっ迫する中、今後の金融政策の先行きを見るうえでFOMCには注目が集まります。野村では、テーパリング(資産購入の段階的縮小)のペースを2倍に速めると発表し、2022年3月半ばにテーパリングを終了するとみています。また、利上げ開始を2022年9月とみており、2022年の利上げ回数は従来の0.5回から2回に引き上げられると見ています。詳細は野村レポートの「米国:2021年12月FOMCプレビュー」をご覧ください。

FINTOS!編集部オリジナル記事

・前日の特集:オミクロン株が景況感や金融政策へ及ぼす影響を注視 (野村が注目する来週のイベント)

・前日の注目レポート:FINTOS!編集部が選んだ本日の野村レポート(12/10)

・今後の配信スケジュール:【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事の配信スケジュール

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