新型コロナウイルス変異株「オミクロン株」は感染力は強いが重症化リスクは低いとの見方が一部にあります。しかし、足元では各国で入国や行動規制が強化されており、しばらくは景気を下押しすることが予想されます。

 足元の景況感を確認する上では、16日(木)に日本、米国、欧州などの主要国で発表される12月マークイットPMI速報値に注目が集まります。

 米経済指標では、15日(水)発表の11月小売売上高、12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、16日(木)発表の11月鉱工業生産が注目されます。年末商戦に入った11月の米国の消費動向で物流や在庫の影響、売れ筋などを確認できるため、小売売上高に関心が集まるとみられます。

 金融政策では、14日(火)~15日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。インフレ加速期間が長引くとの観測の下、テーパリング(資産買い入れの段階的縮小)の前倒しを決定すると予想されます。

 ユーロ圏では、16日(木)~17日(金)にEU首脳会議、16日(木)にECB金融政策理事会が開催されます。新型コロナ対応の資産購入終了や物価動向についての見解が注目されます。

 世界的にインフレ懸念が強まる中、日本でも企業物価の上昇が加速しています。日本では13日(月)に日銀短観(12月調査)、10月機械受注が発表されます。コスト負担の上昇を転嫁できない企業も多く、景況感が停滞する可能性があります。

 中国では、好調な輸出が景気を下支えする一方、冬季オリンピックに向けた大気汚染緩和のための生産規制、不動産規制の強化、新型コロナ対策の行動制限が景気を下押しすると見られます。15日(水)に11月の鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資等の重要統計が発表されます。            

(坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2021年12月10日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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