米国市場の動向

米主要3指数は揃って下落

 9日の米国株式市場で、NYダウは前営業日比-1.93%、S&P500指数は同-2.37%、ナスダック総合指数は同-2.74%と主要3指数は揃って下落しました。ECBの金融引き締めによる経済への影響が懸念され欧州株が下落したことなどを受け、米主要指数は下落してスタートしました。一方、失業保険申請件数が雇用鈍化の兆しを示す内容だったことから、米長期国債利回りの上昇が一服する場面もありました。しかし、10日に米5月CPI(消費者物価指数)の発表を控え、インフレ加速への警戒感もあり株式市場は上値が重い展開となりました。引けにかけては、主要指数は下落幅を拡大しました。

ECBの金融政策会合の結果

 ECBは9日、金融政策会合で7月に0.25%ポイントの利上げを実施と債券購入の終了を発表しました。9月以降も利上げ継続姿勢だが、インフレ見通しが維持か悪化の場合には利上げ幅拡大の意向であり、0.50%ポイントの利上げの可能性を排除していません。また、ラガルド総裁はインフレのリスクについて「主として上昇方向だ」との認識を示しました。その要因として生産能力の長期的な悪化や、エネルギーと食料品価格の高止まり、予想以上の賃金上昇等を挙げ、今年のインフレ率がECBの最新の予測を上回る可能性があると述べました。

相場の注目点

日経平均先物CMEは日経平均の前営業日終値を下回る

 日経平均先物CME終値は27,970円となりました。日経平均株価の前営業日終値(28,246円)を下回る水準です。WTI原油先物価格が3営業日ぶりに下落したことなどから、エネルギー関連株は相対的に軟調な展開が予想されます。9日の米国市場では、主要3指数が揃って下落する中、主に半導体関連銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数が同-2.69%となりました。国内株式市場でも半導体関連銘柄の動向には注目です。

米5月CPIが発表予定 

 本日、米5月CPI(消費者物価指数)が発表されます。物価統計の結果を通して、米金融政策で想定されうる引き締めペースに市場の関心が集まっています。市場ではコアCPIの前月比+0.5%への減速を見込んでいる一方で、野村證券のエコノミストは同+0.7%への上振れの可能性にも言及しています。そして、米金融政策については、5月同統計のコアCPIの上昇率が加速を示し、6月・7月・9月FOMCではそれぞれ0.5%ポイントの利上げ、11月と12月にはそれぞれ0.25%ポイントの利上げを想定しています。

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