来週の注目点:主要中銀のコミュニケーション戦略を注視

  エネルギー価格などの上昇、労働需給の逼迫を受けてインフレ懸念が再び強まり、欧米の中央銀行はタカ派(景気よりインフレ抑制を重視)的姿勢を強めています。また、長期のインフレ期待は安定していますが、実質金利の上昇が株式市場の重石となっています。引き続き、各国の金融政策、物価、労働市場、景気動向を丹念に確認する必要があります。来週は、15日(水)にFOMC(米連邦公開市場委員会)、16日(木)にBOE(英中銀)、17日(金)に日銀と、金融政策決定会合・結果発表が相次ぎ、注目が集まります。

 米国の経済指標は、14日(火)に5月生産者物価指数、15日(水)に6月NY連銀製造業景気指数、5月小売売上高、16日(木)に6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、5月住宅着工・建設許可件数、17日(金)に5月鉱工業生産など、重要指標の発表が相次ぎます。金利上昇やインフレ高進の影響は住宅市場、企業や消費者のマインド、一部の消費財、生産等に見られており、その度合いが引き続き注目されます。

  日本では、15日(水)に4月機械受注、16日(木)に5月貿易統計が発表されます。中国の主要都市における都市封鎖に伴う中国向けの輸出、機械受注への影響が懸念されます。

 ユーロ圏では、14日(火)にドイツで6月ZEW景況感調査が発表されます。行動制限の緩和に伴ってサービス消費が持ち直す一方、ウクライナ紛争による不透明感や供給制約が製造業の足かせになるとみられます。 

 中国では、15日(水)に5月小売売上高、5月鉱工業生産、1-5月固定資産投資、1-5月不動産投資が発表されます。都市封鎖地域の縮小により改善が見込まれます。     

(投資情報部 坪川 一浩)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2022年6月10日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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