市場の注目を集めた7月26日~27日開催のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、6月会合に引き続き0.75%ポイントの大幅利上げが決定されました。しかし、市場参加者の一部にはそれを上回る1.00%ポイントの利上げを見込む向きがあったことや、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長が今後の利上げペースについてデータ次第の柔軟な姿勢を示したことなどから、NYダウなどの主要株価指数は大幅に反発し、ドルは全面安で反応しました。

 「Buy the rumor, sell the fact.(噂で買って事実で売れ)」という有名な相場格言があります。今回はその逆パターン(悲観論で売って事実で買い戻す)となりますが、7月FOMC後の金融市場の反応は、市場参加者が現状で考えられうるリスクシナリオを先取りして織り込んできたことの証左と言えるでしょう。

 金利上昇を最も嫌気していたナスダック総合指数(以下、ナスダック)も反発を見せ始めています。同指数は、昨年11月の史上最高値(16,057ポイント)からの下落率が6月中旬に最大で33.7%に達し、月足チャート面(下図)では一時36ヶ月移動平均線(8月3日時点:12,027ポイント)を割り込む水準まで値を崩しました。しかし、下ヒゲを引く形でその後は切り返し、7月の大陽線で同ラインの早期奪回を果たしています。

 注目されるのは、ナスダックの長期上昇相場がスタートした2009年3月以降で主要な下落局面は今回を除き4回(図中:①~④)ありましたが、その全ての局面で上向きの36ヶ月線が下支えとなり、同水準前後から底打ち反転していることです。高値からの下落率や下落期間の点においても、今回の「33.7%、8ヶ月」は、過去4回の下落局面と比べても、すでに調整十分と捉えられる水準となっています。今回も①~④と同様のパターンを描く可能性は高いと考えられます。

 勿論、世界的な金融引き締めが早期に終了することは期待しにくく、ウクライナ紛争や新型コロナ感染拡大にも収束の気配が見えない中、株式市場を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。とはいえ、早々に景気後退リスクまで織り込んだ株式市場の動きを鑑みれば、この先インフレ指標のピークアウトが確認されれば、利上げがしばらく継続しても、株式市場が殊更ネガティブに反応する可能性は低いと考えられます。まずは下向きの12ヶ月線(8月3日時点:13,653ポイント)奪回が、最初の試金石となるでしょう。

※テクニカル分析は過去の株価・為替等の値動きを分析・表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。また、記載されている内容は一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。

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