来週の注目点:9月の米雇用統計、日銀短観に注目

 インフレ長期化懸念から、米国に続き英国、スイスの中央銀行も追加利上げを実施したことを受け、世界的に長期金利が急上昇しました。株式市場では、金融引き締め強化への警戒感から下押し圧力が強まっています。今後は、欧米をはじめ各国のインフレ抑制に向けた金融政策運営とともに、物価高の影響を緩和するための減税措置など財政拡大が市場金利に及ぼす影響にも目配りが必要となります。

 米国では、3日(月)に9月ISM製造業景気指数、5日(水)に9月ADP雇用統計、9月ISMサービス業景気指数、7日(金)に9月雇用統計が発表されます。景況感にとって物価上昇圧力の緩和はプラス材料ですが、金融引き締めの影響にも注意が必要です。雇用情勢に関して、非農業部門雇用者数の増加が続く場合、市場ではFRB(米連邦準備理事会)による利上げ継続観測が強まりやすいでしょう。労働力不足の緩和から、前月に続き時間当たり平均賃金の伸びが鈍化するかどうかもインフレ動向をみる上で注目されます。

 日本では、3日(月)に9月調査・日銀短観が発表されます。サプライチェーン(供給網)の混乱が解消に向かう中で、大企業・製造業の業況判断は改善が予想されています。一方、新型コロナ感染第7波に加えて物価高の影響もあり、大企業・非製造業については6月調査から横ばいとの見方が大勢です。

 ドイツでは、6日(木)に8月製造業受注が発表されます。冬場にかけて天然ガスなどエネルギー供給への不安が高まる中、新規受注の低調が見込まれています。

 中国では、8日(土)に9月財新版・サービス業PMIが発表されます。一部都市で行動制限は続くものの、消費を中心に経済活動が再加速する可能性を探る上で、サービス業の景況感が注目されます。

(投資情報部 野手 朋香)

(注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2022年9月30日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。
(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成

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