FRBによる速いペースでの利上げが続く

 米国ではインフレ沈静化の確証が得られず、FRBは速いペースでの利上げを続けています。米国の金利上昇や企業業績の下方修正により、株価が調整しています。一方、PER(株価収益率)でみて、バリュエーションは既に切り下がっています。利上げの到達点は引き上がり、終了時期も後ろ倒しになるとの見方が広がっていますが、金利上昇懸念が一巡すれば株式市場は復調に転じるとの我々の見方は変わりません。早晩、インフレ沈静化が明確になれば、金融引き締めへの懸念は徐々に後退し、景気や企業業績の復調への期待が広がるとみます。

米国利上げの着地点は5%程度

 主要国で景気減速懸念が強まっています。エネルギー価格も落ち着いてきましたが、OPEC(石油輸出国機構)プラスが減産を決定するなど、ロシアによるエネルギー供給制約を含めてリスクが残ります。米国では景気見通しの下方修正が続きますが、景気後退との見方は多くはありません。住宅市場は厳しい状況が強まっていますが、良好な雇用環境を背景に消費は堅調です。一方、インフレ率の低下は明確ではありません。ガソリン価格は低下し、家賃もいずれ低下するとみられますが、FRBはインフレ沈静化を着実なものとするため、速いペースの利上げを続けるとみられ、利上げの着地点は5%程度になると市場で予想されています

PERでみて米国株の割高感は限定的

 米国企業の業績見通しに下方修正がみられます。中国におけるサプライチェーンの混乱や米ドル高を要因とするものが目立ちます。しかし、S&P500指数ベースのEPS(1株当たり利益)は、年度ベースでの増益予想は維持されています。PERでみて、米国株の割高感は限定的です。米国中間選挙は、現時点で野党共和党が下院で優勢となっており、大統領と議会がねじれた場合、予算の審議などで議会運営が混乱する可能性があり、今後は注意が必要でしょう。

欧州経済は厳しい

 欧州ではロシアからの天然ガスの供給懸念や、インフレ抑制に向けた利上げの加速、イタリアなど債務の多い国の長期金利上昇から、景気は厳しい状況にあります。英国政治の混乱も、不透明要因です。一部の金融機関の信用リスクは、個別の問題に限られたものとみられます。

中国はゼロコロナ政策を修正するか

 中国では共産党大会を経て、習近平総書記の3期目の政権運営が決定されました。台湾有事などのリスクが強まる可能性があります。当面は、ゼロコロナ政策が修正され、景気回復色を強めることができるかが注目されます。

日本企業の業績は悪くない

 日本は、エネルギー関連の輸入増で経常収支が悪化し、円安が進んでいます。一方、企業の設備投資やソフトウエア投資意欲が高まり、国内回帰の機運もみられます。自動車を中心にした挽回生産が進み、政府の新たな経済対策に加えて制限緩和から旅行需要の増加がみられるなど、前向きな動きも強まっています。欧米と比べて賃金が伸び悩む日本は、インフレが定着する可能性は低く、日本銀行の金融緩和姿勢は変わりません。円買い介入も行われましたが、日米金利差の拡大や経常収支の悪化により、円高に反転しにくい状況が続きます。一方、円安は企業業績の押し上げ要因で、足元で業績下方修正が限定的なことから、日経平均株価に割高感はみられません

投資戦略

 投資戦略については、米国を中心に経済やインフレ指標によって市場のボラティリティーが高まる可能性は引き続きありますが、インフレや金融引き締めはいずれ和らぎ、景気と投資戦略については、米国を中心に経済やインフレ指標によって市場のボラティリティーが高まる可能性は引き続きあります。しかし、インフレや金融引き締めはいずれ和らぎ、景気と企業業績への信頼感が回復することで、株式市場は業績相場に戻るとみます

(投資情報部 小髙 貴久)

※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 11 月号」(発行日:2022年10月24日)「投資戦略の概要」より

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