特集
506件
-
2023/09/25 17:00
【銘柄紹介】アステラス製薬/クボタ/富士通
アステラス製薬(4503) 医薬品 新薬販売に伴う業績寄与に期待 4~6月期コア営業利益は、為替影響による販管費や研究開発費の増加で野村従来予想を下回った。販管費にはホットフラッシュ治療薬Veozah の関連費用約50億円が含まれるも、研究開発費では前期に計上したVeozah の優先審査の関連費用が剥落した。 会社はコアベースの2024.3期業績予想を維持もフルベースの営業利益を下方修正。Meppel 工場譲渡による減損73億円と日本の商業構造を含むグローバルでの組織再編に伴う一過性費用200億円を織り込んだ。 Veozah は販売開始に伴う積極的な販促活動と保険適応の拡大などにより、24.3期の売上高は462億円に上ると野村では考えている。 地図状萎縮治療薬Izervay に注目 現地時間8月4日に当社はFDA(アメリカ食品医薬品局)より、地図状萎縮(GA)治療薬としてIzervay が米国で承認されたと発表。足元で上市している治療薬はApellis Pharmaceuticals社のSyfovreと当社製品Izervay のみだが、有効性と安全性の観点からIzervay は競合薬に比べて有用だと野村では考えている。 治験における有効性検討では、GA の症状進行速度をIzervay投与12カ月後で最大35%抑制(Syfovre:投与24カ月後で最大22%抑制)している。安全性では、Syfovreは投薬で重症化した眼内炎が発症しているが、Izervayでは軽度に留まっており、安全性が高い薬剤といえよう。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 松原 弘幸) クボタ(6326) 機械 農機、小型建機のグローバル企業 1890年の創業以来、水道用鉄管による近代水道の整備、農機による食料増産と省力化などに貢献してきた。農機、小型建機を強みとするグローバル企業で、2022.12期では海外売上高が全社の78%、北米が同41%を占める。建機では6t 以下の小型建機を中心に手がける。 これまでの業績の不透明要因だった北米市場では住宅市場の悪化に伴う主力の小型トラクタの需要減と在庫調整といった悪材料が消化されてきている。住宅向けが過半を占める小型トラクタは24年には小売りが前年比で増加に転じよう。23年4~6月期以降に大幅な減産に入ったが、23年末にはディーラー在庫は適正水準に戻ると見る。 北米での小型トラクタの回復に注目 北米で当社が主力とする小型トラクタについて、野村では小売り台数を23.12期に前期比9%減と見込むが、24.12期では同4%増、25.12期では同3%増と緩やかな回復を予想する。一方、小型トラクタの卸売(当社の売上高)は、在庫調整のため大幅な減産に入っており、23.12期通期では同36%減を野村では予想する。ただし全社業績については円安の好影響が大きく、23.12期では前期比30%営業増益を予想する。 最終需要である米国住宅市場の回復をうけた小売り販売の好影響で、24.12期の卸売は増収に転じると見る。そのため、24.12期では前期比4%営業増益と利益成長の継続を見込む。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 前川 健太郎) 富士通(6702) 電気機器 国内サービス受注は好調に推移 2023年4~6月期の営業損益は前年同期比273億円悪化の17億円の損失となった。顧客の在庫調整の影響でデバイスやネットワークが低迷、海外もIT(情報技術)投資抑制の影響で赤字となった。ただ、注力するサービスソリューションは増益となり、24.3期通期でも業績を下支えしよう。 第1に、国内サービスソリューションの受注は同18%増と好調で、基幹系刷新需要が強く今後も順調に推移しよう。第2に同部門の4~6月期の粗利率は同1.6%ポイント改善した。開発標準化、自動化、内製化の効果が出ている。第3に、値上げ効果が出始めており、24.3期下期からは収益性改善に本格的な寄与が始まると見られる。 サービスシフトでキャッシュ創出力を強化 26.3期中期経営計画では、サービスソリューションに経営資源を集中、海外やハードウェアでは構造転換を重視する方針。営業利益5,000億円目標はやや野心的な印象だが、デジタル変革需要の取り込みとサービスの標準化等で採算性改善が続こう。 第1に、サービスソリューションでは今後3年間で4,200億円の増収効果で1,500億円の営業増益を見込む。課題解決型ソリューションの新ブランドFujitsu Uvanceを中心としたデジタルサービスが成長を牽引しよう。第2に、キャッシュ創出力が強化され3カ年の事業成長投資7,000億円と株主還元6,000億円とバランスの取れた配分が期待される。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 山崎 雅也) ※野村週報 2023年9月25日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/25 15:30
【市場展望】歳出膨張よりも硬直化が問題
過去最高となった概算要求額 9月5日、財務省から2024年度予算の一般会計概算要求・要望額が公表された。要求総額は、22年度の111兆6,559億円を上回る114兆3,852億円と、過去最高となった。メディアにおいては、要求額が過去最高を記録した点を含め「110兆円を上回るのは3年連続で、100兆円を超えるのは10年連続」(23年9月5日付日本経済新聞電子版記事)など、際限ない歳出の膨張を問題視する論評が目立つ。 財政規模の拡大に歯止めが効かなくなることも問題ではある。しかし、24年度予算概算要求に関しては、むしろ歳出の硬直化の方を問題視するべきであるように思われる。歳出の硬直化とは、事後的に柔軟に増減することが困難な支出の全体に占める割合が上昇することを指す。 日本の財政の歳出を硬直化させる要因としては、高齢化の進行に伴う社会保障関係費の増加がもとより存在していた。それに加え、22年12月16日に閣議決定された防衛力整備計画(23~27年度の5カ年)では計画実施に必要な防衛力整備経費の水準が43兆円程度とされ、一般会計予算における防衛関係費は27年度に8兆9,000億円程度まで増加していくことになる。岸田政権の下で打ち出された「次元の異なる少子化対策」も、歳出硬直化に繋がり得る一因となる。6月に策定された「こども未来戦略方針」においては、こども家庭庁予算を30年代初頭までに倍増させ、同方針の少子化対策加速化プランの下でそのうち「3兆円半ば」の規模増額を3年間で実現させるとしている。24年度予算は、これら新たな歳出固定化・硬直化要因が現実の予算に組み込まれはじめるタイミングでもある。 24年度予算概算要求では、国債費の増加も目立ち、これも歳出の硬直化要因と評価できる。概算要求における国債費は、28兆1,424億円と、23年度予算比で2兆8,921億円増となっている。概算要求に当たっての国債の元利払いの想定金利を1.5%と、23年度予算政府案決定時の1.1%から0.4%ポイント、同概算要求時点の1.3%から0.2%ポイント引き上げたことが影響している。「金利のある世界」の再来を前提とすれば、相応の国債利払い費が財政コストとして固定化されるのは必然である。 歳出構造の柔軟化は急務 本来あるべき姿としては、こうした歳出の硬直化・固定化に対応し、備えるために、①安定的な財源を確保する、②更なる歳出改革により裁量的な支出の部分で適切な効率化や弾力化を行う、といった取り組みが必要となる。これまでの議論を見る限り、①の点では、増税を視野にいれた税制改革、社会保険料改革は先送りが続いている。②の点では、裁量的支出の歳出効率化に向けた改革が進むどころか、経済対策と補正予算編成を通じた比較的大規模な歳出の追加が半ば常態化している。 岸田首相は、9月13日の内閣改造と自民党役員人事を経て、臨時国会に向けた経済対策の策定に入る見込みである。9月10日にG20(20カ国首脳会議)終了を受けて行われた記者会見では、「新たな体制で思い切った経済対策をつくり、早急に実行していく」「必要な予算にしっかりと裏打ちされた思い切った内容の経済対策を実行したい」と表明しており、今年度も補正予算編成によって歳出規模がさらに拡大する流れは不可避となりつつある。 今次概算要求においても、「新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費並びにウクライナ情勢経済緊急対応予備費」については、金額を定めない事項要求扱いとされており、後の更なる歳出膨張の萌芽を残しているとも評価できる。 当初予算編成において必要な政策経費を精査した上で予算を措置しながら、事後的に大規模な補正予算編成が慣例化することは本来避けなければならないはずだが、逆に事後的に相当規模で歳出を拡大させる必要が見込まれるのであれば、その分、当初段階では歳出構造を十分に弾力化しておく必要があるとも考えられる。 さらに中長期的にみれば、防衛力大幅強化の動機ともなっている地政学的リスクの増大、日本が地理的な特性上避けることのできない南海トラフ地震などの大規模災害リスクの存在を踏まえた場合には、有事の際に相応の規模の歳出拡大余地を確保し、また、そうした緊急の大規模歳出によっても財政運営の持続可能性が損なわれない状態を維持する必要がある。財政の歳出構造は予め相当程度の柔軟性を確保しておく必要があるとも言える。このような点でも、24年度予算概算要求における歳出構造の硬直化は憂慮すべき問題であろう。中期的な防衛力強化、少子化対策がスタートするのを契機として、歳出構造の硬直化を如何に回避するかの議論とそのための仕組みづくりが急がれるところであろう。 (野村證券経済調査部 美和 卓) ※野村週報 2023年9月25日号「焦点」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/25 12:00
【知って得する株主優待】マイベスト総合ランキング(9/25)
マイベスト総合ランキング 本記事は『知って得する株主優待 2023年版』 より作成しました。 「知って得する株主優待」は優待実施企業の情報を網羅している「元祖」株主優待専門誌として投資家に愛読されています。 ※ご投資に際しては株主優待以外の要素についてもご確認ください。また、保有期間中に優待内容の変更や廃止等が発表されることがあります。各企業のリリース等最新情報をご確認ください。 (注)・データ取得並び株価の数値は2023年9月1日。・(★) 株主優待の権利を取得できる最低株数と最低売買単位が異なりますので、株主優待に必要な株数を必ずご確認ください。・実施されている株主優待が変更、廃止される場合もあります。保有株数、保有期間などにより、株主優待内容や割当基準日が異なる場合があります。・ご投資に際しては、株主優待内容の詳細及び最新の情報を各企業のホームページなどでご確認ください。・諸般の事情により特定の銘柄をランキングから除外させて頂いている場合があり、順位が変わることがあります。・本資料の株主優待ランキングの著作権は野村インベスター・リレーションズ株式会社に属します。・(※1) 2024年12月末基準日までの株主優待制度を記載しています。 2025年12月末基準日より変更になります。詳しくはホームページをご確認ください。・(※2) 2024年3月末現在の株主名簿に記載される株主優待内容を記載しています。詳しくはホームページをご確認ください。・(※3) 2023年9月末基準日として普通株式5株につき1株の割合で併合します。株主優待制度は2024年3月末基準日より変更になります。詳しくはホームページをご確認ください。(出所)野村インベスター・リレーションズ株式会社『知って得する株主優待 2023年版』“マイベスト総合ランキング” より野村證券投資情報部作成 ※ランキングは、「知って得する株主優待」2022年版で実施した読者アンケートの結果(有効回答数1,631件)に基づいています。4つのテーマ(「マイベスト」「家族みんなで楽しめる」「女性にうれしい“美と健康”」「株を長く保有したい」)に該当すると思う株主優待実施銘柄を、同誌掲載の1,456社を対象に1つ以上3つまで選択する方式で実施(ただし、その後上場を廃止した銘柄、株主優待を廃止した銘柄は除く)、項目ごとに集計しています。 (野村證券投資情報部 山口 菜穂) ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/25 09:30
【チャート分析】ルネサス、1/3押し水準まで調整、反発なるか
このたび、日本株の年初来騰落率上位銘柄をチャート分析しました。 【TOPIX100採用銘柄】年初来騰落率上位ランキング (注)対象はTOPIX100採用銘柄。騰落率は、2022年12月末値と2023年8月末値の比較で算出。(出所)東京証券取引所より野村證券投資情報部作成 今回は8月末時点で上昇率第1位のルネサスエレクトロニクス(6723)を取り上げました。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 7月高値形成後、押しを入れる 当社は、日本有数の半導体メーカーで、車載マイコンでは世界トップクラスのシェアを誇ります。 (図1)当社の株価は、2022年12月に安値を付けた後、大反発となり、今年7月には2,899.5円まで上昇しました。ただその後は押しを入れる展開となり、9月には昨年12月以降の上昇幅に対する1/3押し水準(2,321円)まで下落しました。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 主要移動平均線はいずれも上を向いており、この先13週移動平均線2022年12月安値形成時の下落率は直前の上昇幅に対する32.8%押しの水準から反発に転じています。この先上向きの26週移動平均線などを足掛かりに下げ止まり、13週線(9月15日:2,537円)や今年7月高値(2,899.5円)に向けて反発に転じるか注目されます。 調整継続の場合は、2,000円処が次の下値メド (図2)一方、この先調整継続となり、26週移動平均線(9月15日:2,289円)や今年9月13日安値(2,228円)を割り込む展開となった場合は、次の下値メドとして、2022年12月以降の上昇幅に対する50%押し(2,031円)水準などがある2,000円前後の水準が挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2023年9月15日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/24 19:00
【オピニオン】日銀の考える政策修正の条件とは?
日本銀行は9月22日、大方の事前予想通りマイナス金利政策や10年国債利回りの誘導目標など、主要な金融政策の据え置きを決定しました。ただし、日銀が7月会合でYCC(長短金利操作)政策の運用柔軟化を決定、その後も政策委員会の一部のメンバーから政策修正に前向きな発言が聞かれたことから、市場では金融政策修正へ期待が根強く、長期金利は高止まりしています。 7月会合後、市場の注目を集めた日銀高官の発言を整理してみましょう。田村審議委員は8月30日、「持続的・安定的な2%の物価上昇の実現が見通せた場合、当然マイナス金利の解除も選択肢の一つとして入ってくる」と発言した上で、「来年1-3月ころ」にはインフレの状況に対する「解像度が一段と上がると期待している」と、2024年早々に金融政策を見直す可能性があることを示唆しました。 植田総裁も9月6日に読売新聞の単独インタビューに応じ(掲載は9月9日)、「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば(解除を)やる」と発言、「年末までに十分な情報やデータがそろう可能性はゼロではない」との見解を示し、市場の早期政策修正期待を高める結果になりました。ただし、ブルームバーグは複数の日銀関係者の発言として、「ゼロではない」発言は「一般論」に過ぎず、従来と比べて踏み込んだ内容ではないとの見解を報じています(9月15日報道)。 田村、植田両氏の間で政策修正を検討し得る時期に若干の違いがありそうですが、修正の条件として「物価安定目標の持続的・安定的な達成」を挙げている点は共通しています。 一方、日銀で長く金融政策の企画・立案に携わってきた内田副総裁は、政策変更の条件として「引き締めが遅れて、2%を超えるインフレ率が持続してしまうリスクの方を、より心配する状況になる」としており、政策変更にはより慎重な印象です。同様に、高田委員、中川委員の発言からも、政策修正の条件として内田副総裁に近い見解である様子がうかがえます。 中村委員は「物価安定目標の達成」に加えて「企業の稼ぐ力がついたかどうかを見ることも重要」と独自の見解を示したうえで、政策修正のタイミングとして「来年1-3月にこだわる必要はない」との見方を示しました。 これらの発言を踏まえると、政策修正の条件や具体的なタイミングについて、日銀内でコンセンサスが形成されている可能性は低いと考えられます。 野村證券では、日本経済は回復基調を維持するものの、今年末から来年初にかけて回復ペースが中弛みし、日銀が「物価安定目標の持続的・安定的な達成」に自信を深める状況にはないと予想しています。YCCの撤廃は2024年10-12月期、マイナス金利撤廃は2025年以降との見方を維持しています。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/24 13:00
【資産運用の視点】決算高進捗かつ会社予想据え置き銘柄の株高効果
2023年度4~6月期(Q1)決算が出揃ってから約1カ月が経過した。決算の注目点の1つに会社予想売上高(以下、ガイダンス)の修正動向があるが、Q1決算では据え置かれる銘柄が多く、今年も約8割が据え置かれた。本稿では、ガイダンス据え置き銘柄の中でも、Q1決算のガイダンスに対する「進捗率」によって決算発表後の株価動向が異なる点について紹介する。 図表の黒線に、「Q1高進捗かつガイダンス据え置き」銘柄のパフォーマンスを示した。ここでは、ガイダンスに対するQ1実績売上高の割合が過去の水準を一定以上上回った場合を高進捗としている(詳細は注)。高進捗銘柄はQ1決算発表後しばらく高パフォーマンスを示す傾向が確認できる。これは、ガイダンスの修正が行われやすい7~9月期(Q2)決算での上方修正を期待したものかもしれない。実際、Q1で高進捗かつガイダンス据え置き銘柄は、Q2の決算発表期にガイダンスが上方修正されやすい傾向がある。 また、Q1高進捗かつガイダンス据え置き銘柄は、Q1売上高がコンセンサス予想を上回った「ポジティブサプライズかつガイダンス据え置き」銘柄(図表、グレーの線)と比較しても高パフォーマンスを持続している。注目度が高く株価への織り込みが速い決算サプライズと比較して、進捗率は織り込みに時間がかかるようだ。 以上を踏まえると、Q1決算発表後の銘柄選択では進捗率を確認することがより重要であると言えよう。たとえガイダンスが据え置かれたとしても、進捗率が高ければQ2での上方修正期待から株価が押し上げられやすいということは知っておくとよいだろう。 (野村證券市場戦略リサーチ部 西岡 伸) ※野村週報 2023年9月25日号「資産運用」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/24 09:00
【テーマ銘柄】女性活躍を積極的に推進する「なでしこ銘柄」
女性の活躍は喫緊の課題に 岸田内閣が2023年6月に決定した「女性版骨太方針」では、東証プライム市場上場全企業を対象に、2030年までに女性役員比率を30%以上とすることを目指すとされました。背景には、日本の女性役員比率は主要7ヶ国(G7)で最下位と、国際的に大きく立ち遅れていることが挙げられます。政府は、女性活躍推進の加速化を喫緊の課題としています。 女性活躍企業の「なでしこ銘柄」 経済産業省と東京証券取引所では、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、なでしこ銘柄として紹介しています。令和4年度に選定された15銘柄は、上場企業の中でも女性役員比率が高く、同比率を持続的に向上させている傾向にあります。企業の意思決定層である女性役員比率が増加すると、幅広い視点での議論を企業経営に取り込むことが可能となり、結果として企業価値の向上につながることが期待されます。 (注1)令和4年度なでしこ銘柄は、メンバーズ、双日、味の素、大塚HD、資生堂、出光興産、古河電気工業、LIXIL、小松製作所、アイシン、丸井グループ、SOMPO HD、三井不動産、商船三井、東京瓦斯の15銘柄。(注2)令和4年度なでしこ銘柄の女性役員比率のうち、2016~2017年度は資生堂・小松製作所を除く。2018年度は小松製作所を除く。(出所)内閣府男女共同参画局、各会社資料(有価証券報告書「役員の状況」)より野村證券投資情報部作成 投資家からも重視される項目に 女性役員比率に限らず、女性活躍情報はESGの要素を含み、企業価値を毀損しない観点から近年投資家心理に影響を与えています。内閣府が機関投資家向けに実施したアンケート調査(令和4年度調査)では、女性活躍情報を投資判断に活用していると回答した割合は全体の約3分の2に上りました。従来までのリスクとリターンという2次元的な捉え方に、個々の企業のESGスコアすなわち「環境や社会に与えるインパクト」という軸が加わり、3次元的に投資判断が行われ始めています。ESG投資が拡大する中で、社会にインパクトを与える女性活躍推進、すなわち多様性確保への取組みの重要度が増してゆくことが予想されます。 (出所)PRIホームページを参考に野村證券投資情報部作成 ご参考:なでしこ銘柄の一例 ・双日(2768) キャリアアップの機会拡大に注力し、女性総合職の海外・国内出向経験割合を2023年度に40%(2020年度実績は19%)を目標としている。 ・味の素(2802) 2030年度までに女性取締役比率30%と女性ライン責任者(意思決定権を持つ責任者)比率30%の実現を目指すとしている。 ・大塚HD(4578) 1980年代より経営トップ自らダイバーシティを推進している。女性研究者3名により開発された「ファイブミニ」は発売以降ロングセラーとなっている。 ・資生堂(4911) 管理職候補の女性の適性に合わせた個別の育成プログラムを策定している。2030年までに全階層の男女比率を50:50にするとしている。 ・出光興産(5019) 2030年度までに女性採用比率50%以上(2022年11月時点では同23%)、女性役職者比率を10%以上(同3%)、男性育児休業取得率100%(同56%)を達成することを目標としている。 ・古河電気工業(5801) 女性社員の絶対数が少ないことを最大の課題と捉え、管理職層の女性比率を2030年度に15%とすることを目標としている(2021年度実績は同3.8%)。働き方改革・D&I委員会の委員長を社長自らが務め、女性活躍推進をフォローしている。 ・LIXIL(5938) 2030年までに取締役・執行役員の女性比率50%、グローバルの女性管理職比率30%を目指すとしている。 ・小松製作所(6301) 2011年度に初の女性執行役員、2018年度に初の女性取締役が就任している。女性管理職比率を2024年度までに13%(2020年度実績は同9.5%)にすることを目指すとしている。 ・アイシン(7259) 現場の女性社員と経営トップで施策を検討する体制を構築している。女性ならではの視点を取り入れ、世界初の非接触型導入美容器「AIR(アイル)」を開発するなど、イノベーション創出につながっている。 ・丸井グループ(8252) 男性社員育休取得率は5年連続100%を達成している。「女性上位職志向比率」を重視し、2025年度に今よりも上のグレードを目指す女性社員の割合を75%(2022年度実績は同58%)にすることを目標としている。 ・SOMPO HD(8630) グループCEOや役員など重要ポストにおけるサクセッション・プランを策定し、女性候補者比率を将来的に50%にすることを目標としている(2020年度実績は同25.4%)。 ・三井不動産(8801) 女性の視点をビジネスや組織に反映するため、リーダーシップを発揮し組織全体に影響力のある管理職の女性比率を2030年に20%(2020年実績は同4.5%)を目標としている。 ・商船三井(9104) 陸上職の女性管理職比率を2025年度に20%(2019年度実績は同12.8%)にすることを目標としている。2016年度には女性活躍への取り組みが評価され、「女性活躍の先進企業」として株式会社三井住友銀行が取り扱う「SMBCなでしこ融資」を受けた。 ・東京瓦斯(9531) 2023年度の女性管理職比率は9.8%(2013年度5.3%)で、3人目の女性役員が誕生した。2025年度の同比率目標は11%以上としている。 (注1)令和4年度なでしこ銘柄15銘柄のうち、流動性を鑑み、時価総額が1,000億円以上(2023年9月7日時点)の14銘柄について掲載している。(注2)HDはホールディングスの略。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 小野 由梨佳) ※画像はイメージ。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/23 19:00
【野村の動画】生成AIは利益を生む!米国個別銘柄の事例を紹介
2023年1月に、マイクロソフトがChatGPTなどの生成AIツールを提供するOpenAIへの追加出資と提携強化を発表して以来、生成AIへの社会的な関心が高まりました。一方で、生成AIブームへの懐疑的な見方もあります。実際に生成AIは利益を生み出すことができるのでしょうか。詳細は動画で解説いたします。 ご投資にあたっての注意点
-
2023/09/23 13:00
【注目トピック】総選挙はあるか?解散日から投票日にかけて株高傾向あり!
衆議院選挙と株式相場動向 早期解散・総選挙はあるか? 9月13日、岸田首相は内閣改造・自民党役員人事を発表しました。主要閣僚の多くを留任させるなど特段の目玉人事に乏しく、各紙報道によればその後の内閣支持率の上昇にはつながっていない模様です。株式市場が注目する早期解散・総選挙実施の可能性は今のところ高くはなさそうですが、岸田首相は来月に向けて経済対策の策定を指示しており、これまでの外交成果の積み上げなども含めて、今後の内閣支持率の動向が注目されます。 解散日から投開票日までは株高傾向 過去の衆議院選挙と株式相場動向をみると、解散日から投票日までの期間において株価が上昇する傾向が見られます(図表A→B)。戦後東証再開以降、過去25回の衆議院選挙のうち20回で日経平均株価は上昇しています。1990年以降に限れば11回中10回で上昇しており、平均騰落率も+3.3%と前者の+2.2%を上回っています。新政権への期待感や近年は経済対策などとセットになることが多いことが、その背景として挙げられそうです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 その後は選挙結果次第 一方、投票日から1か月後までの期間(図表B→C)では勝率や騰落率が大きく落ち込みます。とりわけ、1990年以降の期間では顕著に悪化しています。選挙結果次第でその後の相場展開は異なることが多いようです。一段高したケースは、政権交代が実現してアベノミクスへの期待感が膨らんだ2012年が挙げられます。2017年のケースでは、長期安定政権の誕生が評価されたと考えられます。 (野村證券投資情報部 山内 正一郎) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点