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2023/10/30 09:30
【銘柄紹介】三菱UFJ/山九/コナミ
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306) 銀行 顧客部門収益は堅調に推移 野村では、10月2日付で2024.3期親会社株主利益について、従来の会社計画(1.3兆円)並の予想から、600億円強増額し、1兆円3,684億円に見直した。主に、相場変動を捉えた市場部門収益を4~6月期決算に実現したことで、その他業務収益等を増額修正したことによるもの。マクロ環境を受けた国内顧客部門の好転や足元の円安傾向等も増益に寄与するものと想定される。中長期の業績の方向性については、24.3期に計上する持分法関連の一過性の増益要因(600億円規模)剥落影響は想定されるものの、収益性重視の経営姿勢を背景とする収益改善傾向などが、顧客部門の利益増加を牽引するものと想定される。 次期中期経営計画に注目 他社比でも進んでいる当社の株主還元方針は、一定程度当社株価評価に織り込まれているものと想定されよう。24年度から開始想定の次期中期経営計画で、自律的な企業価値成長を提示できるかに野村では注目している。邦銀の利益成長ドライバーは金利上昇のみとの見方が株式市場では根強いが、国内マクロ環境が構造的に好転しつつある中、①会社固有の戦略施策でトップライン成長を伴う利益成長を実現し、②その果実(ROE(自己資本利益率)向上、株主還元強化等)を投資家と共有する経営姿勢を示せるか、金利相場を超えた今後の株価の中長期的な動向を占う点からも注目している。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 高宮 健) 山九(9065) 陸運 鉄鋼、化学の補修に強い 当社は物流事業と鉄鋼、化学業界の補修を主力とする機工事業を手掛ける。利益の大半を創出する機工事業は、鉄鋼業界との取引が約40%、化学業界が30~40%、残りが電力会社などである。 コロナ禍では顧客が生産を抑制したことで機工事業の受注が低調だったが、生産の正常化に伴い、受注は回復傾向にある。なお、受注の特徴として、化学業界からの案件は2年に1回のシャットダウンメンテナンス(以下、SDM)により振幅がある。 2023年1月に発表された中期経営計画では健全な財務体質を生かし、総還元性向を70%と株主還元を強化、自己資本利益率も中期的に向上させていく方針が示された。 24.3期は6 %営業増益を予想 23年4~6月期の営業利益は前年同期比1%減益、機工事業の6月末受注残は922億円と過去最高を更新した。SDM の案件は少なかったものの、鉄鋼の修繕需要が回復してきたことが業績に寄与した。 野村では豊富な受注残の消化で、24.3期の営業利益は前期比6%増益の405億円と、会社計画の370億円を上回ると見ている。25.3期はSDM の案件が多く、営業利益は同8%増益の437億円を予想する。中長期的な成長ドライバーとして、中東や東南アジアで建設されたプラントの補修の獲得、顧客の生産設備の脱炭素化に対応した新たな案件の獲得に注目していきたい。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 広兼 賢治) コナミグループ(9766) 情報・通信 休眠IP活用で利益拡大が進もう 当社は家庭用ゲームやモバイルゲーム、カードゲームを主力とする国内大手ゲームメーカーであり、スポーツクラブ運営やアミューズメント機器の製造販売等も手掛ける。「遊戯王」や「プロ野球スピリッツ」、「eFootball」といったIP(知的財産)を数多く保有しており、近年はこれらIP をモバイルゲームへ展開することで利益を拡大させてきた。また休眠IP の活用も積極化しており、2022年10月には「サイレントヒル」シリーズを3タイトル開発中であることが発表された。23年11月1日には同IP の配信イベントを展開予定であり、ソフト販売本数押上げといったシナジー効果発揮に繋がるか注目する。 主力3事業は好調なフェーズ 24.3期は家庭用ゲーム、モバイルゲーム、カードゲームの主力3事業の拡大により、事業利益は前期比32.9%増の752億円と予想する。家庭用ゲームでは「桃太郎電鉄」、「メタルギアソリッド」等の人気IP 作品が発売となり、中期的には「サイレントヒル」等の作品パイプラインも豊富である。モバイルゲームでは「eFootball」の売上回復に加え、WBC 効果でユーザーが増加したと見られる「プロ野球スピリッツA」の拡大にも期待できる。カードゲームでは24年2月に遊戯王カードが25周年を迎えることから、商品展開拡大が想定され、利益拡大への期待は高いと考える。 (野村證券エクイティ・リサーチ部 三木 成人) ※野村週報 2023年10月30日号「銘柄研究」より ※掲載している画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 09:24
【米国株決算速報】シェブロン(CVX):販売・費用計上のタイミングやプロジェクトの遅れが重石、株価は-6.72%
決算概要:2023年7-9月期(2023.12期第3四半期) EPS実績は市場予想を下回った 米国時間10月27日寄り前に、石油メジャーの一角で、総合エネルギー・化学品事業を行うシェブロン(CVX US)が2023年7-9月期(2023.12期第3四半期)決算を発表しました。売上高は市場予想を5.1%上回り、EPSは市場予想を18.7%下回りました。 販売・費用計上のタイミングやプロジェクトの遅れが重石 会社は、前年同期比で資源価格が下落したことに加え、中長期的な契約による販売価格の上昇率よりも調達など短期のコスト上昇率が高かったことによるタイミング要因、カザフスタンでの新プロジェクトの収益化の遅れや既存設備の更新による一部事業の停止、米南西部パーミアン盆地での生産障害、などが純利益に悪影響を及ぼしたと決算説明会でコメントしました。 米国の川下事業では、精製マージンの拡大などが前期比での利益成長に寄与しました。 売上高とEPSの推移 株価は下落 シェブロンの株価は、前日比6.72%安で引けました。 EPS実績が市場予想を下回ったことや、プロジェクトの遅れに反応したと考えられます。 株価推移 (6ヶ月日足) (注1)EPS は非米国会計基準の希薄化後一株当たり利益。(注2)株価推移:データは日次で、直近値は2023年10月27日時点。(注3)売上高とEPSの推移:赤色は実績で、直近値は2023年7-9月期(2023/9)。灰色はLSEG(旧リフィニティブ)集計による市場予想平均。2023年10-12月期以降の予想は2023年10月26日時点。(出所)会社発表、LSEG(旧リフィニティブ)より野村證券投資情報部作成 (文責:野村證券 投資情報部・竹綱 宏行) 【米国株決算速報】シェブロン(CVX):前年比では原油安により減収減益も株主還元を強化、株価は-0.49% 野村の米国株決算リンク集:2023年1-3月期・4-6月期決算 野村の米国株決算リンク集:2022年1-3月期・4-6月期・7-9月期・10-12月期決算 野村の米国株決算リンク集:2021年10-12月期 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/30 08:27
【モーニングFINTOS!】地政学リスクや企業決算がNYダウの重石に(10/30)
海外市場の振り返り 27日の米国株式市場で、NYダウは3日続落しました。イスラエル軍の報道官が、パレスチナ自治区ガザへの地上作戦を拡大すると述べたと報じられ、中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が広がりました。加えて、決算が市場予想を下回った石油大手シェブロンが6%超と大幅下落したことや、CEOが保有する株式を一部売却する方針を示したJPモルガン・チェースが3%超下落し、NYダウの重石となりました。一方、前日引け後に好決算を発表したインテルやアマゾン・ドットコムが大幅上昇となり、ハイテク株は総じて堅調でした。ナスダック総合指数は3日ぶりに反発しました。 相場の注目点 今週は、国内主要企業の決算発表が序盤戦のピークを迎え、その動向が注目されます。経済指標では、米国で10月ISM製造業景気指数(11月1日)、同サービス業景気指数(3日)、10月雇用統計(3日)など重要経済統計が多数発表されます。米国景気の堅調さを示唆する結果となれば、逆に長期金利上昇を経由して株安の材料となる可能性には注意が必要です。 本日のイベント 本日より、日銀の金融政策決定会合が開催されます。明日(31日)には結果発表と植田総裁の記者会見が行われます。野村證券では、日銀は金融政策を据え置き、「経済・物価情勢の展望」で物価見通しを引き上げ、フォワード・ガイダンスを部分的に修正する可能性はあるものの確度は高くない、と予想しています。その他、日本電気やパナソニックHDなどが決算を発表する予定です。 (投資情報部 澤田 麻希) (注)データは日本時間2023年10月30日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。 ※画像はイメージです。 FINTOS!編集部オリジナル記事 【11月の投資戦略】短期的な米政治リスクの決着後、株価は復調へ 【今週のチャート分析】日経平均は10月4日安値に接近し、東証騰落レシオ70%台へ(10/27) ご投資にあたっての注意点
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2023/10/29 19:00
【11月の投資戦略】短期的な米政治リスクの決着後、株価は復調へ
結論:短期的な政治リスクの決着後、株価は復調色が強まるとみる。利上げ終了も大きな転換点に 目次・いずれ金利低下と業績拡大局面に・FRBは高い政策金利を暫く維持か・米国下院の混乱に注意もテクノロジー企業の業績は拡大へ・半導体市場の復調が鮮明に・日本企業の業況は良い・円安もあり日本企業の業績は良好 いずれ金利低下と業績拡大局面に 日米で長期金利が上昇しています。米国の金融引き締め姿勢の長期化や、主要国の景気持ち直しなどが理由とみられます。金利上昇による景気や企業業績の悪化(いわゆる逆業績相場の特徴)は今のところ限定的です。我々は、利上げ終了は大きな転換点となり、いずれ金利が低下し、企業業績の拡大が明確になれば、金融相場、業績相場として株価が追い風を受ける局面に移るとみます。ただし、経済・金融市場のリスクには短期的に注意すべきものもあります。 ▲TOPに戻る FRBは高い政策金利を暫く維持か ニューヨーク連銀が長短金利差から計算する1年後の米国景気後退確率は高く、住宅ローン金利の上昇もあって、住宅市況は低迷しています。しかし、米国の消費には復調がみられ、雇用環境も殆ど悪化していません。原油価格が上昇しているものの、米国のインフレ率は着実に減速しています。ただし、FRBの物価目標である2%の上昇率に向けては、更なる減速が必要です。FRBは利上げを終了させたとしても、高い政策金利を暫く維持するとみられます。金利低下局面に入るとしても、そのペースは緩やかであるとみます。 ▲TOPに戻る 米国下院の混乱に注意もテクノロジー企業の業績は拡大へ 11月17日の暫定予算期限切れまでに米国下院の混乱が収束しなければ、政府閉鎖のリスクがあります。しかし、米国企業業績はS&P500指数EPS(1株当たり利益)でみて、2023年7-9月期にいよいよ増益に転じるかどうかの節目にあります。先行きはテクノロジー企業を中心に業績拡大が強まり、短期的な政治リスクの決着後、株価は復調色が強まるとみられます。 ▲TOPに戻る 半導体市場の復調が鮮明に ユーロ圏は景気悪化懸念が強まっており、利上げは9月が最後で、金利上昇圧力は収まってゆくでしょう。中国は景気減速が懸念され、不動産開発企業の経営難などの問題もあります。中国政府は矢継ぎ早に景気支援策を発表しており、財政支出を伴う経済対策も検討されるとみられます。一方、中国で鉱工業セクターの在庫圧縮が進んでいます。また、世界的に半導体市場の復調が鮮明になりつつあり、日本の製造業にも恩恵が及ぶことになるでしょう。 ▲TOPに戻る 日本企業の業況は良い 日本の輸出は円安や国内外の在庫調整の進展に伴い、回復に向かっています。企業の景況感は、製造業の改善だけでなく、非製造業においても人流回復や企業の価格転嫁などが功を奏し、良好です。一方、実質賃金は大幅なマイナスとなっており、家計の生活水準は物価上昇分を賄いきれず、実質的に低下しています。政府は期限付きの所得税減税や物価高対策などの経済対策の策定を進めています。消費者の値上げ疲れなども見え始め、インフレ率は減速に向かう可能性が出てきましたが、長期金利は海外の金利環境につられるように上昇しています。日銀は、異例の金融緩和政策の変更素地が整うのを見極める段階にあるとみられます。 ▲TOPに戻る 円安もあり日本企業の業績は良好 米ドル円レートは企業の想定為替レートを上回る円安が進んでいます。円安は製造業を中心に業績の追い風で、良好な経済環境の下で企業業績は増益の勢いが強まるとみます。ここ1ヶ月間の株価下落で、PERなどのバリュエーションでみた割高感は、かなりの程度払しょくされています。野村證券は2023年末の日経平均株価の見通しを34,000円と予想します。 ▲TOPに戻る (野村證券投資情報部 小髙 貴久) ※野村證券投資情報部「Nomura 21 Global 11月号」(発行日:2023年10月23日)「投資戦略の概要」より 業種分類、Nomura21 Globalについて ※掲載している画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/29 13:00
【注目トピック】岸田首相の経済対策、減税議論が本格化へ
減税議論 税収が過去最高を更新 2022年度の国の一般会計における税収・税外収入の合計は、約78.5兆円と3年連続で過去最高を更新しました。背景には、消費税、法人税、所得税の「基幹3税」が経済の正常化や企業業績の好調により3年連続で増収となったことが挙げられます。 「減税」議論に注目が集まる 岸田首相は9月25日に5本の柱からなる経済対策の方針を示しました。経済対策の狙いについて、「経済成長の成果である税収増などを国民に適切に還元すべく対策を実施したい」と述べ、「税や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員する」と発言したことで、減税への期待が高まりました。 減税政策は税制改正で検討 各種報道によると、11月初旬に取りまとめられる経済対策には低所得世帯向けの給付金やガソリン価格の高騰を抑える補助の継続などが列記される模様です。また、期限付きの所得税減税を打ち出す方向で調整しているようです。予算規模は税収増の追い風を受け、ある程度の景気刺激効果を期待できる規模になる可能性があります。一方、減税政策については、減税に必要な法改正に時間がかかるため、11月初旬の経済対策ではなく、例年通り12月以降の税制改正のプロセスで議論される見込みで、そこに向けて与党の税制調査会に具体策の検討が指示される模様です。 今後のスケジュール 本格的な減税を行うためには、税制関連法案を成立させる必要があります。その場合、12月上旬に2024年度税制改正大綱が取りまとめられ、2024年1月の通常国会に関連法案が提出され、3月までに成立させるという段取りになります。減税の効果が現れるのは、来年度以降になるでしょう。近年、税収は増加傾向にあることから、経済・社会の在り方を見極めた上での継続的な減税政策が期待されます。 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/29 09:00
【注目トピック】中東情勢が緊迫化も原油価格への影響は限定的か
中東情勢の緊迫化 ハマスとイスラエルの衝突 10月7日に始まったイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘による犠牲者の多さや戦力の規模は、第4次中東戦争以来となっています。今後、米国や中東周辺国を巻き込む形で紛争が拡大することが懸念されています。 2国の共存を目指す協議が停滞 1947年、パレスチナをイスラエル人国家とアラブ人国家、国連管理地区に分割するパレスチナ分割決議が国連で採択され、1948年にイスラエルが独立を宣言しました。しかし、アラブ諸国はこれを受け入れず、数次にわたり戦争が繰り返されました。特に、1973年の第4次中東戦争の際に起きた石油危機は、原油価格急騰という、世界的に大きな影響を引き起こしました。1993年にパレスチナが暫定的に自治を始めるオスロ合意が結ばれ、2国家共存の機運が高まりましたが、その後のイスラム組織ハマス、イスラエルでの右派政権の台頭などで対立は先鋭化し、イスラエル軍のガザ侵攻などで和平協議は停滞しました。 ハマスによる攻撃の背景は アラブ諸国は、パレスチナ問題を巡りイスラエルと対立を続けてきましたが、安全保障や経済面での協力を進めるため、次々と国交を樹立しました。今回のハマスによる攻撃は、米国の仲介で、イスラエルとサウジアラビアの国交正常化に向けた交渉が本格化している中で行われました。ハマスはこの国交正常化阻止を狙ったと考えられるほか、パレスチナ問題が国際社会から置き去りにされることを懸念しての行動との見方もあります。 原油価格への影響は限定的か 第4次中東戦争では、アラブ諸国がイスラエルを支援する西側諸国への制裁として、原油価格の引き上げを行い、石油危機を招きました。今回の攻撃は、中東産油国を巻き込むような構図ではありません。また、ガザ地区は産油地帯ではなく、石油の重要な輸送路ではないため、現時点で原油相場に与える影響は限定的となっています。 (野村證券投資情報部 澤田 麻希) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/28 19:00
【野村の動画】地政学的緊張が高まる中、防衛関連銘柄への注目が急上昇!
ウクライナ紛争に加えて、中東情勢も緊迫してきていることから、株式市場では地政学リスクへの懸念が高まっています。この背景のもと、防衛関連銘柄に対する関心も増してきています。動画中では、具体的な銘柄だけでなく、転換期を迎えつつある日本の国防などに関しても解説しています。 ご投資にあたっての注意点
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2023/10/28 13:00
【オピニオン】最近、金利が上昇しても株価が上がりがちな理由
米国の長期金利は、10月19日に前日比0.09%ポイント上昇し4.988%に達しました。2007年以来の高水準です(下左図)。同時に、米国の株式市場では主要3指数が揃って下落、「金利上昇を嫌気し下落~』との見出しがおどりました。教科書通りの表現で一見問題なさそうですが、果たしてそうでしょうか? 実は、過去30営業日のうち、前日比で金利が上昇したのは19日を数えましたが、このうちセオリー通りS&P500株価が下落したのは9日に留まっています。(どちらかというと)金利が上昇したほうが株価が上がりやすい、ような気もします。本稿では改めて金利と株価の関係を考えてみることにしましょう。 下右図は、2000年以降の米国長期金利と、S&P500のPER(株価収益率)をプロットしたものです。金利3%近辺を境にして、①3%以下では金利上昇=PER低下(≒株価下落)、②3%以上では金利上昇=PER上昇(≒株価上昇)、という関係が大よそ存在するようです。 一般的に、金利上昇の際には、実体経済が順調に拡大していることが多く、金利上昇による影響を打ち消し、場合によっては補って余りあるEPS(1株当たり利益)増加期待が生じ、PERが上昇しやすくなると考えられます。米国の場合は3%以上の金利水準がそれにあたるとみられます。 一方、米国の場合3%以下の金利水準は、リーマンショック~コロナ禍の間の緊急事態に対応したもので、本来の米国の実力に対しては低すぎ、いわゆる過剰流動性相場の様相を呈していたとみられます。米国が金融政策の引き締め方向への転換を意識し始めた2021年後半以降、金利上昇=株価下落の傾向が強まったのは、『ぬるま湯』からあがることへの不安感がそうさせたのでしょう。 冒頭で述べたとおり、米国の長期金利は5%に近づき、分岐点となる3%よりはかなり高い水準に達しています。金融引き締め局面初期では、PERが高くリスクが高いとされたNASDAQが、今年は年初来パフォーマンスでNYダウやS&P500を大きく上回っているという事実は、米国株式市場が3%以上の金利水準の環境下でもしっかりとEPS成長を達成できるという自信の顕れとみることができるでしょう。 また今回紹介した事実は、近い将来日本が金融政策正常化に舵を切った際の参考にもなるでしょう。無論、米国と同じように長期金利3%を境にして、とはならないと思いますが。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点
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2023/10/28 07:00
【来週の予定】日米の金融政策決定会合に注目、政策修正は?
来週の注目点:日米金融政策、米重要統計、中国重要会議 今週の注目点は日米の金融政策です。31日(火)に日銀金融政策決定会合の結果発表と植田総裁の記者会見が行われます。野村證券では、日銀は金融政策を据え置き、「経済・物価情勢の展望」で物価見通しを引き上げ、フォワード・ガイダンスを部分的に修正する可能性はあるものの確度は高くないと、予想します。 11月1日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)結果発表では、追加利上げは見送られる公算です。会合後の記者会見では、パウエルFRB(米連邦準備理事会)議長は、米長期金利上昇による引き締め効果について言及し、データ次第との姿勢を維持する可能性が高いと見られています。 米国の経済指標は、31日(火)に10月コンファレンスボード消費者信頼感指数、11月1日(水)に10月ADP全米雇用レポート、10月ISM製造業景気指数、3日(金)に10月雇用統計、10月ISMサービス業景気指数と重要統計の発表が相次ぎます。 ユーロ圏では、31日(火)に7-9月期実質GDP速報値、10月消費者物価指数(HICP)が発表されます。ユーロ圏のインフレ率は低下が見込まれるものの、しばらくは政策目標を上回って推移し、特にコアインフレ率は下げ渋ると見ています。 中国では、5年に一度の全国金融工作会議が30日(月)-31日(火)に開催される見込みです。これまで幾度も中国経済の転換点となってきた経済運営について議論される三中全会の開催も控えてており、不動産危機や地方政府債務問題など構造的な課題に対する政策方針に注目が集まります。また、31日(火)に10月政府版PMI、11月1日(水)に10月財新版製造業PMIなどが発表されます。 (野村證券投資情報部 坪川 一浩) (注)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2023年10月27日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点