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02/18 09:00
【基礎から学べる「行動ファイナンス」】 第8回 フレーミング効果とリフレーム
「フレーミング効果」と「リフレーム」 心理学用語の「フレーミング効果」とは、「同じことでも見方(フレーム)によって評価や判断が変わること」をいいます。 例えばコップに水が半分入っているのを見た時に、水が「半分も入っている」という肯定的なフレームと、「半分しか入っていない」という否定的なフレームがあります。同じ物を見ているのに、水の量に対する評価が逆になるのです。 今回紹介する「リフレーム」は、このフレーミング効果を前提とした行動コントロールの技術です。 同じことを聞いているのに、結果が違う… フレーミング効果とお金の判断について、米国で行われた実験の例を挙げてみます(※)。そこでは、3000人弱の回答者を性別・年齢の分布が同じになるように2グループに分けて別々の質問をしました。 一つ目のグループに、「収入の20%を貯金できますか?」と尋ねると、YESと答えた人が50%、NOが50%でした。 一方、「収入の80%で生活できますか?」と尋ねると、YESが80%、NOが20%だったのです。 2つの尋ね方は、それぞれ「将来のために消費を20%も減らす」という短期的・否定的なフレームと「将来のことを考えてもまだ80%も消費できる」という長期的・肯定的なフレームに対応しており、肯定的な(つまり、プラス思考の)フレームの方がYESを答えやすいということです。 ※2016年「ゴールベース資産管理入門:顧客志向の新たなアプローチ」(チャック・ウィジャー他、日本経済新聞出版)273頁記載の例参照 合理的に保有株を選べる? この考え方を応用して、問題のある方向にいったん固定されたフレームを、別のより良いフレームに変更することを「リフレーム」と呼びます。 例えば本連載第4回「高値覚えと塩漬け株」の中で、評価益の出ている株Aに対して評価損の出ている株Bは売りにくいという事例を紹介しました。 これは、「両方持っている状態からどちらを売るか」ではなく「両方持っていないとしたらどちらを買うか」という問題にリフレームするというアイデアがあります。新しいフレームでは、合理的に保有したい株の方を選ぶことができるでしょう。 「リフレーム」単独でうまくいかないこともあります。例えば、「双曲割引バイアス」では、自然に任せると人は「長期」より「短期」を重視しやすく、20年間は使わないつもりの余裕資金の投資であっても、毎日の損益に一喜一憂してしまうのです。これを防ぐには、短期から長期への「期間のリフレーム」ができるとよさそうです。 長期目的なら、翌日などよりも20年後の投資成果を考えることができれば、問題は減らせるはずです。しかし、「双曲割引バイアス」の力は強く、この解説を聞いてすぐに短期から長期に切り替えられる人はめったにいません。 このリフレームの実践のためには他にも工夫が必要で、最も良く併用される技術が次回説明する予定の「コミットメント」です。 (KINZAI Financial Plan 2023年8月号掲載の記事を再編集したものです) 大庭 昭彦 野村證券株式会社金融工学研究センター エグゼクティブディレクター、CMA、証券アナリストジャーナル編集委員、慶應義塾大学客員研究員、投資信託協会研究会客員。東京大学計数工学科にて、脳の数理理論「ニューラルネットワーク」研究の世界的権威である甘利俊一教授に師事し、修士課程では「ネットワーク理論」を研究。大学卒業後、1991年に株式会社野村総合研究所へ入社。米国サンフランシスコの投資工学研究所などを経て、1998年に野村證券株式会社金融経済研究所に転籍、現在に至るまで、主にファイナンスに関わる著作を継続して執筆している。2000年、証券アナリストジャーナル賞受賞。 本稿は、野村證券株式会社社員の研究結果をまとめたものであり、投資勧誘を目的として作成したものではございません。2023年5月掲載時点での情報に基づいております。 ご投資にあたっての注意点
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02/17 17:00
【オピニオン】米国株の上昇は継続するか、そのポイントは?
米国企業の2023年10-12月期業績は概ね堅調でした。2024年2月9日時点では、S&P500採用銘柄のうち332社が決算発表を済ませ、そのうち8割強の1株当たり純利益が市場予想を上回りました。決算をふまえた今後のポイントは、下記と考えます。 ①コロナ禍・アフターコロナから、正常化へ ②AIの活用と収益化が成長のドライバー ③緩和的な金融環境の継続 下の左側の図表は、S&P500を構成する11業種と、S&P500の純利益の成長率(前年比)です。2023年(灰色の棒グラフ)は、各業種の成長率がまちまちでした。ヘルスケアの落ち込みは、ファイザーやモデルナの新型コロナワクチンの販売が前年比で減少したことや、メルクが買収した企業を一括で費用計上した特殊要因を反映しました。また、エネルギーや素材は2022年のウクライナ紛争などによるエネルギー高騰の反動による減益でした。また、一般消費財が高い伸びを示したのは、2022年のアマゾン・ドットコムの純利益がコロナ禍明けの財消費の落ち込みにより急減した反動です。 2024年(赤の棒グラフ)は各業種とも比較的安定した成長が見込まれています。特殊要因が減り、正常化が予想されているといえそうです。例えば、ヘルスケアは、薬の処方量や手術数などが安定することで、従来のように業績が景気に左右されにくい状況に戻ることが予想されます。不確実性=リスクが小さくなることで、リスク対リターンでの評価が見直される可能性があります。 決算では、AIの活用本格化と収益化が顕著でした。メタ・プラットフォームズは、SNS広告や動画事業、利用者の拡大におけるAIの貢献についてコメントしました。アマゾン・ドットコムやマイクロソフトはクラウド部門の成長はAI需要がけん引した、と説明しました。これらの企業の2024年と2025年の純利益見通しは決算を受けて引きあがり、株価も決算後に上昇しました。下の右側の図表にあるように、大手IT企業の利益は成長が見込まれており、S&P500全体の利益成長をけん引するとみられています。 緩和的な金融環境の継続も米国株には重要です。2023年3月の米地銀シリコンバレーバンク破綻などを受けてFRB(米連邦準備理事会)が創設した緊急融資プログラム(BTFP=バンク・ターム・ファンディング・プログラム)は、2024年3月11日で新規融資が打ち切られることが同年1月24日に発表されました。その翌週に米地銀ニューヨーク・コミュニティ・バンコープが集合住宅融資とオフィス向け不動産融資の引当金積み増しで赤字となり、株価が急落しました。日本でもあおぞら銀行が米国オフィス向け融資の引当金を積み増したことなどで赤字となったことが話題となりました。 米国の金融環境は、2023年の地銀危機よりもその対策の影響が大きかったことで緩和的となり米国株上昇の要因のひとつとなりました。BTFPの終了後も、利下げや量的引き締め(QT)縮小などにより、緩和的な金融環境が継続するかが米国株の上昇継続には重要と考えられます。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/17 12:00
【テーマ銘柄】全固体電池、完成車メーカーなどで実用化の動きが活発化
全固体電池とは 全固体電池とは、リチウムイオン電池の電解液を固体電解質に置き換えたものです。 現在、主流となっているリチウムイオン電池は、電解質に可燃性の高い有機化合物を使用しているため発火リスクがあり、温度変化にも弱い面があります。 一方、全固体電池は固体化した電解質を用いることで、液漏れがなく耐熱性を高められるほか、正極・負極と電解質を積層させて直列構造にすることが可能なことからエネルギー密度や出力密度が向上し、小型化や急速充放電が可能になります。 (注)図中のLi+とは、リチウムイオンのこと。(出所)出光興産、トヨタ自動車、各種資料より野村證券投資情報部作成 全固体電池の特徴 全固体電池の中核技術である固体電解質には、大きく分けて「硫化物系」と「酸化物系(セラミック)」の2種類があります。 酸化物系は硫化物系と比較し、大容量化や高出力化が困難なものの、安全性が高く長寿命で、電子機器内に搭載される小型電池として既に実用化され始めています。 EV向けとして期待されているのが、硫化物系の全固体電池です。主原料に発火リスクが残る硫黄を使用することなどから、酸化物系と比較し安全性への課題が指摘されていましたが、2023年10月にトヨタ自動車と出光興産が硫化物系全固体電池の量産化へ向け協業を始めると発表するなど、実用化に向けた動きが活発化しています。 (出所)出光興産、トヨタ自動車、各種資料より野村證券投資情報部作成 拡大する企業の取り組み 完成車メーカー各社は既存の電池メーカーや新興企業と共同で全固体電池の開発を進めています。近年では、三井金属鉱業やAGCが硫化物系固体電解質の生産を本格化させるなど、材料メーカーの動向も注目されます。今後は、全固体電池に適した正極材や負極材の開発も進展していくことで、EVへの搭載が本格化すると期待されます。 ご参考:全固体電池関連銘柄の一例 ・出光興産(5019) 2023年6月に、全固体電池向け固体電解質の供給能力の増強を決定した。 ・AGC(5201) 2023年9月に、全固体電池に使われる硫化物固体電解質の新たな生産技術として、ガラスと化学の技術を融合させた独自の溶融法を確立し、技術実証に成功したと発表した。今後、生産プロセスや品質の改善を進め、2027~2028年をめどに事業化し、2030年に年間100億円の売り上げを目指す。 ・三井金属鉱業(5706) 2024年1月に、全固体電池向けアルジロダイト型硫化物固体電解質「A-SOLiD」の生産能力を現状比3倍にすると発表した。 ・三菱マテリアル(5711) 2023年12月に、硫化物系の固体電解質の製造において新技術を開発したと発表した。複数の原料を混ぜて加熱するだけで合成でき、従来手法と比べて固体電解質を量産しやすくなる。新技術による固体電解質を自動車メーカーなどにサンプルとして提供しており、事業化を目指す。 ・パナソニック HD(6752) 2023年9月に、ドローンなどの小型無人機などに向けて開発中の小型の全固体電池を2020年代後半に量産する方針を明らかにした。実用化できれば、3分程度でドローン用の電池容量の8割を充電できる見込み。 ・TDK(6762) 世界に先駆けて、SMD(表面実装部品)タイプのオールセラミック全固体電池「CeraCharge(セラチャージ)」を製品化した。 ・日立造船(7004) 2022年に宇宙で全固体電池の充放電に世界で初めて成功した。独自の製造方法を強みに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と実用化に向けた共同研究を進めている。 ・日産自動車(7201) 「ジャパンモビリティショー2023(旧東京モーターショー)」に全固体電池を採用したEVを展示した。2028年度までに全固体電池を搭載したEVを発売する計画である。 ・トヨタ自動車(7203) 2023年6月に、2027~2028年にEV用全固体電池の実用化を目指す方針を明らかにした。2023年10月には、2001年より全固体電池の開発を開始し、固体電解質を手掛けている出光興産と、EV用全固体電池の量産実現に向けた協業の開始を発表した。 ・BMW(G0052/BMW GY) 2023年1月に、米国ソリッドパワーと共同で全固体電池を製造するための試作ラインを設けると発表した。 ・フォルクスワーゲン(G0750/VOW GY) 出資する米国クアンタムスケープが開発するEV向け全固体電池セルについて、2024年1月に約50万kmの走行で、蓄電容量低下は5%という耐久試験結果を公表した。 (注1)全てを網羅しているわけではない。(注2)HDはホールディングスの略。外国株式のコードは、野村コード/ブルームバーグコード。(出所)各種資料より野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 寺田 絢子) ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/17 09:00
【マーケット解説動画】日経平均一段高、史上最高値更新が視野に(2月16日引け後収録)
テクニカル展望(2月16日引け後収録) 今週の「テクニカル展望」動画では、弊社の山内シニア・ストラテジストが 、チャート分析の観点から、今後の展望や注目点について15分ほどで解説しています。今後の投資の参考にご覧ください。 今週の収録内容 「日経平均一段高、史上最高値更新が視野に」 1.1週間の振り返り2.日経平均株価:日足・月足①②・長期月足3.TOPIX:長期月足4. 来週の注目イベント (解説)野村證券投資情報部シニア・ストラテジスト 山内 正一郎 ※動画の終盤に言及している、「アンケート」については、FINTOS!ではご回答いただけません。ご了承ください。 ご投資にあたっての注意点
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02/17 07:00
【来週の予定】米インフレ鎮静化に向けた手がかりは得られるか
来週の注目点:FRB・ECBの議事録と2月PMI速報値に注目 2024年1月のFOMC(米連邦公開市場委員会)以降、FRB(米連邦準備理事会)高官からはインフレの着実な鎮静化を示す、より多くの証拠を待ちたいと、早期利下げに慎重な発言が相次いでいます。そのような中、2月13日発表の米1月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回ると、市場の利下げ観測はFRBの見通しと大差ない水準まで修正されました。 金融政策の先行きを判断するうえで、当面の間は、米1月CPIに対するFOMCメンバーの見方に加え、今後発表される経済指標からインフレ鎮静化に向けた手がかりが得られるかが注目されます。 米国では、21日(水)に1月FOMC議事録が発表されます。ここでは、インフレ見通しに加えて、利下げに向けどのような要件が議論されていたのかが注目されます。同日にはボスティック・アトランタ連銀総裁、翌22日(木)にはクックFRB理事、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁などの講演も予定されています。経済指標では22日(木)発表の2月PMI速報値が注目を集めそうです。 日本では、19日(月)に12月機械受注と1-3月期の受注見通し、21日(水)に1月貿易統計、22日(木)には2月PMI速報値が発表されます。PMI統計では、予想以上に堅調に推移する米国景気の影響や、中華圏や東南アジアの春節がインバウンドなどを通じてどの程度日本のサービス業に影響を与えたのかが注目されます。 ユーロ圏では22日(木)に1月ECB(欧州中央銀行)金融政策理事会議事録が発表されるほか、同日には2月ユーロ圏PMI速報値、23日(金)にはドイツの2月Ifo企業景況感指数と、注目度の高い景気先行指数が発表されます。ユーロ圏景気に底入れの動きが確認できるかが注目点です。 (野村證券投資情報部 尾畑 秀一) (注1)イベントは全てを網羅しているわけではない。◆は政治・政策関連、□は経済指標、●はその他イベント(カッコ内は日本時間)。休場・短縮取引は主要な取引所のみ掲載。各種イベントおよび経済指標の市場予想(ブルームバーグ集計に基づく中央値)は2024年2月16日時点の情報に基づくものであり、今後変更される可能性もあるためご留意ください。(注2)画像はイメージです。(出所)各種資料・報道、ブルームバーグ等より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/16 19:00
【最新ランキング】日本株、今週の値上がり/値下がり銘柄は? (2月第3週)
日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(上位) 2024年2月第3週(2024年2月9日~2月15日) 2024年2月月間(2024年1月31日~2月15日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年2月15日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年2月15日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 日本主要銘柄・株価騰落率ランキング(下位) 2024年2月第3週(2024年2月9日~2月15日) 2024年2月月間(2024年1月31日~2月15日) 2024年年間(2023年12月29日~2024年2月15日) (注)対象はTOPIX500、直近値は2024年2月15日。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 <参考>今週の日本株式市場パフォーマンス 主要指数 TOPIX: 東証33業種 (注)業種分類は東証33業種ベース。直近値は2024年2月16日前引け時点。(出所)ブルームバーグより野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/16 16:40
【イブニングFINTOS!】日経平均は続伸、米国株上昇を受け、一時史上最高値に迫る(2/16)
本日の株式市場 本日の日経平均株価は前日比359円高の38,517円で取引を開始しました。前日の米国株式市場が上昇したことに加え、半導体のアプライド・マテリアルズが15日引け後に発表した好決算を受け、同社株が時間外取引で上昇したことで、国内市場でも半導体関連株が堅調となったことが、日経平均株価を押し上げました。寄付き後は、一時前日比707円高の38,865円と、史上最高値の38,915円まで50円といったところまで上昇する場面もありました。もっとも、足元で急上昇していることに対する短期的な過熱感もあり、その後は半導体関連株を中心に、やや上げ幅を縮小する展開となりました。後場に入り、日銀の植田総裁が緩和的な金融環境が続く可能性が高いとの発言を受け、持ち直しを見せ、高値圏でもみ合いとなりました。引けにかけてやや上げ幅を縮小したものの、前日比329円高の38,487円と、連日で昨年来高値を更新しました。 本日発表予定の海外経済指標等 【米国】1月住宅着工件数(年率:万件)前月:146.0 予想:145.01月住宅着工許可件数(年率:万件)前月:149.3 予想:150.91月生産者物価指数(総合)(前年比:%)前月:1.0 予想:0.62月ミシガン大学消費者マインド(速報値)(総合)前月:79.0 予想:80.0 (注)経済指標などの市場予想はブルームバーグによる市場コンセンサス予想。時間は日本時間。(出所)東京証券取引所等より野村證券投資情報部作成 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点
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02/16 12:00
【今週のチャート分析】日経平均、史上最高値のある38,000円台に乗せる(2/16)
※2024年2月15日(木)引け後の情報に基づき作成しています。 13日に前日比で1,000円超上昇 今週の日経平均株価は、13日の1,000円を超える大幅上昇に象徴される強い動きを示しました。好決算を材料に半導体関連や保険セクターなどが急伸し、日経平均株価を押し上げました。 日経平均株価のこれまでの動きを振り返ってみましょう。1月下旬から36,000円を挟み一進一退で日柄調整をこなす動きとなりましたが、2月13日に大幅上昇し、15日には38,100円台まで上昇しました。目先は直近急騰した反動も見込まれますが、引き続き史上最高値(38,915円)に向けた動きとなると考えられます。一方、この先の上値が重く一旦調整となった場合は、上向きの25日移動平均線(2月15日:36,284円)が下支えとなると考えられます(図1)。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (注1)直近値は2024年2月15日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社より野村證券投資情報部作成 ここで前回の中長期上昇局面(20/3~21/9)内の中段保ち合い(20/6-10末)突破後の動きをみると、3ヶ月半にわたり25日移動平均線を下支えとする上昇傾向が続き、上昇幅(20/10末~21/2高値)は7,000円を超えました(図2)。一方で、今年1月の中段保ち合い上抜け後の上昇は、2ヶ月半で4,600円を超える上昇(23/12末~24/2高値)となっています。前述の局面を参考とすれば、上向きの25日線を下支えとしながら、さらなる上昇となる可能性が高いと考えられます。 (注1)直近値は2024年2月15日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 中長期上昇波動の中での現在地は 日経平均株価は、2022年3月安値(24,717円)を大底として、今年2月には38,100円台の水準まで上昇しました(2月15日時点)。足元で中長期的な上昇局面を形成中だと考えられますが、株価の動きは波動を形成すると考えられ、これまで上昇傾向にある株価が、この先いつまでも上がり続けるということはなく、いずれ天井を形成し下落局面が訪れると考えられます。では、現在の株価は波動の中でどの位置にいると考えられるのでしょうか。 月足チャートを確認すると、2010年以降に3度あった中長期上昇局面(図3:①~③)における上昇倍率は、1.6~2.6倍となっていました。しかし今回は1.5倍に留まっており、最低の上昇倍率に届いていません。これらの点からみれば、この先も上昇余地があるとみられ、当面は中長期上昇局面が継続すると考えられます。 (注1)直近値は2024年2月15日時点。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。 (注3)日柄は両端を含む。(出所)日本経済新聞社データ、各種資料より野村證券投資情報部作成 もっとも、先行き中長期トレンド上の天井を形成した後は、過去の動きを参考とすれば、1年を超える中長期的な調整や停滞の局面を迎えると考えられます。ただ、重要なのは、これらの中長期トレンドを内包する10年を超える超長期トレンドは上向きだと考えられるということです(図4)。すなわち、先行き中長期トレンド上の天井を形成したとしても、その数年後にはそれら天井を超える動きとなる可能性も十分考えられます。 (注1)日次終値データより月足チャート作成。直近値は2024年2月15日。 (注2)トレンドラインには主観が入っておりますのでご留意ください。(出所)日本経済新聞社データより野村證券投資情報部作成 (投資情報部 岩本 竜太郎) ※画像はイメージです。 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら ご投資にあたっての注意点
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02/16 09:30
【チャート分析】ホンダ、13・26週線が再び上向きに(2/16)
このたび、FINTOS!で皆様にご好評いただいている機能「ウォッチリスト」に多く新規登録された銘柄をチャート分析しました。 「ウォッチリスト」新規登録上位銘柄ランキング 母集団:野村の投資情報アプリ「FINTOS!」にて、ユーザーの皆様が「ウォッチリスト」機能に新規登録した上位5銘柄(2024年1月分)。ただし直近上場銘柄は除く。 今回は2024年1月に新規登録された銘柄第5位の本田技研工業(7267)です。週足チャートを用いて、チャート分析上の注目点を記しています。今後の投資戦略を考える上で、ご参考になれば幸いです。 2023年9月高値に向けて戻しを試す動きに期待 当社は二輪車のシェア世界首位を誇る、日本有数の自動車/二輪車メーカーです。 ※(アプリでご覧の方)2本の指で画面に触れながら広げていくと、画面が拡大表示されます。 (図1)当社の株価は、2023年1月~9月にかけて上昇相場を形成した後、12月にかけて調整の動きとなりました。 ただ12月安値は上向きの52週移動平均線が下支えとなり、その後株価は反発、急角度の下降トレンドラインを突破して13週線や26週線の水準も奪回しました。 13週線や26週線が再び上向きに転じており、この先2023年9月高値(1,821円)に向けて戻しを試す動きが期待されます。 調整継続の場合は13週線などが下値メド (図2)一方、仮にこの先上昇一服となり、押しを入れる展開となった場合は、13週線(2月2日:1,538円)や、2023年12月安値形成時に下支えとなった上向きの52週線(同:1,430円)が下値メドとして挙げられます。 (注1) 株価は修正株価でザラ場ベース。直近値は2024年2月2日。 図中の「〇週線」 とは移動平均線を指す。 (注2)株価表記について、2014年7月以降、一部の銘柄の呼値の単価変更により、小数点以下第1位まで表記しているものがある。(注3)トレンドラインには主観が含まれていますので、ご留意ください。またご投資に際しては、企業業績や投資尺度などテクニカル以外の要素についてもご確認ください。(注4)掲載している画像はイメージ。 (出所)東京証券取引所データより野村證券投資情報部作成 (野村證券投資情報部 丹羽 紘子) この資料は、投資判断の提供を目的としたものではなく、一般的なテクニカル分析の手法について記したものです。テクニカル分析は過去の株価の動きを表現したものであり、将来の動きを保証するものではありません。 また、記載されている内容は、一般的に認識されている見方について記したものですが、チャートの見方には解釈の違いもあります。 ※画像はイメージです。 ご投資にあたっての注意点