市場展望 を含む記事
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2022/12/13 10:00
【市場展望】中国景気が左右する原油価格
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2022/12/06 17:30
【市場展望】企業業績は利益率・数量ともに困難に直面
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2022/11/29 20:00
2021~24年度の日本経済見通し(市場展望)
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2022/11/22 20:00
【市場展望】米国の中間選挙の結果と今後の米国政治
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2022/11/15 15:00
【市場展望】当局の円買い介入後も残る円安リスク
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2022/11/09 15:00
ベトナム株に注目、中国株の転機は?(市場展望)
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2022/10/31 20:00
高まる米金利上昇のストレス(市場展望)
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2022/10/24 20:00
米インフレ上振れと相場転換タイミング(市場展望)
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2022/10/19 15:00
2022年中のドル円は高止まりへ(市場展望)
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2022/10/11 15:00
米株市場は業績による選別がより重要に(市場展望)
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昨日 20:00
【今週の米国株】強い雇用統計受け、利下げ開始は来年3月からと予想(2/6)
①1月27日~2月3日の振り返り:ナスダック堅調はいつまで続く? 米国株の主要3指数では、引き続きナスダック総合指数が強い展開が続きました。一方のNYダウは、週次ベースで今年に入り初めて下落しました。インフレ緩和期待を背景にしたグロース(成長)株優位の展開が続いています。 注目の3イベントを振り返る 先週の注目点は、2月FOMC(米連邦公開市場委員会)と1月雇用統計、そしてGAFA決算の3点でした。全体としては、FOMCで0.25%ポイント利上げが決定され金融政策のタカ派懸念が回避されたことが、相場上昇継続の一因となりました。一方で、雇用と決算は株価にとって手放しの歓迎とはいかなそうです。 雇用統計は市場予想を大きく上回る+51万人 1月雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比+51.7万人(12月同+26.0万人、市場予想同+18.9万人)と、堅調な内容でした。強い雇用は、インフレの継続(賃金上昇→消費者の購買力増加→物価上昇)とFRB(米連邦準備委員会)による利下げタイミングの後ずれを意味します。実際、週を通して低下傾向にあった米10年国債利回りは、週末に雇用統計の発表と共に反転上昇し、前週3.510%(1月27日終値)を上回る3.522%(2月3日終値)となりました。 GAFA決算はマクロ環境悪化を示唆 GAFA決算はまちまちな内容でした。2022年10月-12月実績で、売上高・EPS(一株当たり利益)ともに上回ったのは小売事業の利益率が改善傾向にあるアマゾン・ドットコム(AMZN)の1社のみです(同社も、利益の要であるクラウドサービスのAWSの増収率は鈍化しました)。アルファベット(GOOGL)、アップル(AAPL)の実績が市場予想を下回るなど、各社の決算やコメントを通し受注の弱含みを示唆するものが多かったと言えます。一方で、メタ・プラットフォームズ(FB)など、アナリストによる下方修正が先行して進んでいた企業では売上高実績が予想を上回るといった例も見られました。 市場予想はまだ下方修正優位だが… 上図のS&P500米国企業のリビジョンインデックス(上方修正した銘柄数/下方修正した銘柄数)では、FY1(予想1期目)は2022年12月21日時点以降1を割っていましたが、2023年2月1日時点で1.00となりました。但しFY2(予想2期目)は2022年6月8日以降概ね1を下回って推移しており、2023年2月1日時点では未だ0.56と下方修正優位です。 予想EPSが上がらない中で株価は上昇を継続したことで米国株(S&P500)のPERは、18.0倍から18.4倍へ上昇し、2016年以降の平均18.2倍とほぼ同水準となっています。 先週の雇用統計を機に、インフレ鈍化と利上げ打ち止め・年内利下げ期待がけん引する足元の相場に変化がないかを今週を通して確認していきたいと考えます。 ②今週の気になる金融政策: 7日(火)のパウエル議長公演 前週の雇用統計を受けFRBがどのような姿勢を示すかに注目が集まります。FOMC明けの今週は、FRB高官の発言が相次ぎますが、まずは7日(火)のパウエルFRB議長講演が注目でしょう。 野村ではFRBの利下げ開始時期を2024年3月と予想 野村では、FRBの利下げ開始時期予想を従来の2023年9月から2024年3月と後ろ倒しに変更しました。雨宮エコノミストは「(財・サービスの)需要が鈍化しているにもかかわらず、雇用主が人員削減を避けて労働力を囲い込んでいることから、景気減速や金融政策の引き締めに対して通常よりも抵抗力が高いことが雇用統計で示唆された」としています。 4四半期連続のマイナス成長となると見ていた米実質GDP成長率を2四半期へ短縮したり、2023年12月の失業率の予想を従来の6.0%から5.0%に引き下げたりするなど、経済の見通しを全体に上方修正しています。一方で、FRBが重視するインフレの尺度であるコア(個人消費支出)PCEインフレ率の2023年12月時点の予想は、前年比+1.7%から同+2.6%に上方修正しました。 米国株・PERを左右する「米国10年債利回り」の目線は 金利・債券を専門とする野村の小清水ストラテジストは「市場において、もし2023年中の利下げ期待が全て解消したとしても、米10年国債利回りは3.8%前後までの上昇に留まろう。一方、労働市場が悪化し、先々で金融緩和の領域までの利下げが織り込まれれば、米10年国債利回りは3%を割り込むと予想される」としています。今後、市場が堅調な経済を背景に「年内利下げなし」との見方に傾けば、今のPER主導の米国株式市場に転換の可能性があります。改めて、緩やかな景気後退の中で好決算を続けられる独自成長要因の企業に光が当たる局面もありそうです。 ③今週の気になる決算:9日(木)のペプシコ ※ここで取り上げる銘柄は、あくまで「今週決算発表がある企業およびその関連企業」のうち、「米国経済やセクター全体を見通す上でインプリケーションが多い」という観点で言及するものです。個別銘柄の勧誘・助言を目的とするものではありません。 GAFAM決算を終えましたが、まだ主要企業の決算発表は続きます。7日(火)のクルーズ船大手ロイヤル・カリビアン・クルーズ(RCL)、8日(水)にはテーマパークやコンテンツ配信大手のウォルト・ディズニー・カンパニー(DIS)、9日(木)のヒルトン・ワールドワイド(HLT)など、サービス消費の動向を見る上で注目の企業が並びます。 スナック×ドリンクの食品企業、ペプシコ 今週は、9日(木)のペプシコに注目したいと考えます。同社は、ペプシコーラのイメージがありますが、正味売上高の過半をフリトレーなどのスナック事業で稼ぐビジネスモデルです。一般に景気後退期にも強いとされるスナック事業は、イベントや屋外消費動向の影響も受けやすいコーラ事業との組み合わせで事業ポートフォリオが構成されており、それぞれにインプリケーションがあるでしょう。また、正味売上高の6割を北米で稼いでおり、コカ・コーラ(KO)に比べ米国の消費動向を見る上では適していると考えられます。 前回決算、値上げでの消費者離れは見られず 前回の7-9月期決算では、大幅な値上げを敢行していたにも関わらず数量減があまり見られず、堅調な決算となっていました。一方で、ドルの独歩高が米ドルベースでの売り上げを下押ししました。これらの傾向に変化がないか、確認したいと考えます。 今週の米企業決算発表を通し、冒頭に紹介した2022年10-12月期のリビジョンインデックスの方向感が見えそうです。先週までのマクロ指標と整合する堅調な決算となれば、インフレ懸念の再燃からの金利再上昇もあり得、EPSとPERの綱引きの相場が続きます。 (FINTOS!米国株/小野﨑通昭) ご投資にあたっての注意点
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02/05 20:00
【特集】日銀の「政策金利引き上げ」、引き起こすきっかけは何?
Q:日銀の「政策金利引き上げ」、引き起こすきっかけは何? 政策金利の引き上げというリスクシナリオが浮上してきました。この政策金利が引き上げられるきっかけには、何が想定されるでしょうか? 2%インフレが視野に入らない中でも、政策金利が引き上げられるシナリオが特にリスクであると思います。きっかけとして、金融機関の収益環境の悪化など副作用への配慮が優先されるということはありそうですが、他にはありますか? A:利上げは想定しにくいが、日銀が考える「副作用」の変化に注意 2022年12月20日の金融政策対応を踏まえると、日銀はYCC(長短金利操作)を運営するにあたって、(1)金利の変動幅の調整:副作用(市場機能の低下)に基づく対応(今回、変動幅を拡大)、(2)金利の誘導水準の調整:ファンダメンタルズに基づく対応(今回は誘導水準を据え置き)、というロジックを使っているように見受けられます。 今回、日銀は物価などファンダメンタルズに対する見方を一切変えなかったので、金利の「誘導水準の調整」は行いませんでした。一方で、副作用(市場機能の低下)に対応するため、「変動幅調整」のみ行いました。 ただし、ご指摘のように、YCCの副作用としてしばしば「金融機関の収益環境の悪化」が言及されます。現状、日銀はこれをYCCの副作用と認めていません。しかし、今後、日銀がこれもYCCの副作用だと認めれば、2%インフレが実現していなくても、マイナス金利をやめる(=日銀当座預金の階層を現行の3階層から2階層にする)という選択肢が浮上すると考えます。 これ以外のロジックで、2%インフレが実現していないにも関わらず、マイナス金利をやめるシナリオは想定しにくいです。 (出所)野村證券経済調査部より野村證券投資情報部作成 ご投資にあたっての注意点
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02/05 17:00
【注目トピック】高まる地政学リスク、「防衛」と「サイバーセキュリティー」が重要テーマに
地政学リスク 世界を取り巻く地政学リスクの例 2022年2月のロシアによるウクライナへの侵攻を契機に、国際政治の舞台では力で変更を試みる動きが徐々に強まってきています。 米国トランプ政権時代に悪化した米中関係は、バイデン政権になってからも悪化が続いています。近年は、経済や安全保障の問題だけではなく、「新疆ウイグル自治区や香港、台湾」の問題を取り上げ、人権を巡る対立も激しさを増しています。また、北朝鮮の度重なるミサイル試射など、地政学リスクに対する警戒感の高まりをきっかけに国際政治は新たな局面を迎えています。 世界各国の防衛意識が高まる 地政学リスクの高まりを受け、近年、米国や中国を筆頭に世界各国の国防費が増加しています。日本周辺でも、米国のペロシ前下院議長の台湾訪問を契機に、台湾有事への懸念が台頭するなど、世界各国の防衛意識がより一層高まる局面を迎えています。 こうした日本周辺での地政学リスクの高まりにも関わらず、日本の防衛費はGDP比1%程度での推移が20年以上続いています。積極的に国防費を増やしている中国や、ロシアとのバランスを取る必要性が高まっており、政府内で防衛力強化が検討されています。 転換期を迎える日本の国防 こうした状況に対応するために、岸田首相はNATOの目標であるGDP比2%以上を念頭に、日本も2023年度から5年間をかけてGDP比2%に防衛関係費を積み上げる方針を示しました。防衛省は2023年度予算案の防衛費について、過去最大の6兆8000億円程度とする方向で調整を進めています。事項要求には、長射程の国産巡航ミサイルやイージス・システム搭載艦、攻撃用無人機の導入などが含まれており、防衛費の積み増しは防衛装備の充実に寄与する見込みです。 増加するサイバー攻撃と「ゼロトラスト」 米中関係を始めとする地政学リスクの高まりから、軍事機密情報や国家インフラへのサイバー攻撃が増加しています。特に近年では、国家や公的機関の機密情報や民間企業が持つ最新技術、個人情報などが狙われ、深刻な被害が及んでいます。 セキュリティー対策では全てのデータ通信が信頼できないことを前提に、全端末の通信データや通信履歴の検査・取得を行い、その都度、利用の可否を判断する「ゼロトラスト」という考え方が主流となっています。具体的には、外部から侵入された端末を検知して切り離すEDRや、端末の通信履歴を収集・分析するSIEM、信頼できるユーザーにのみアプリなどの通信を許可するIAMといった各種セキュリティー製品を組み合わせて構築されます。 セキュリティー・バイ・デザインの潮流 一方、IoTにおいては無数の機器が存在する為、ネットワークレベルでのセキュリティー対策が難しいという課題があります。そこで、企画・設計段階から攻撃者の目線でセキュリティー対策を検討し、システムの仕様として作り込む「セキュリティー・バイ・デザイン」の必要性が高まっています。例えば自動車は、自動運転車や、つながる車などがハッキングを受け、遠隔から不正に操作される可能性もあることから、ECE(国連欧州経済委員会)は2022年7月から一部の新車にセキュリティー・バイ・デザインの考え方を義務化する基準を採択しました。オンラインでのソフトウエア更新機能を備えた新車に対し、販売前に認証が必要となり、2026年までに発売済の車も含め全車種が対象となる見通しです。様々な分野で、一層のセキュリティー強化が求められており、市場の更なる拡大が期待されます。 (投資情報部 寺田 絢子) 【FINTOS!編集部発行】野村オリジナル記事配信スケジュールはこちら 業種分類、Nomura21 Globalについて ご投資にあたっての注意点