中国関連銘柄は製造業PMIのサプライズ次第で上下に動きやすい

先週の日経平均株価は前週末比で0.5%上昇しました。週の半ばまでは上昇傾向が見られましたが、勢いを持続することはできませんでした。株価の回復が鈍化した背景には、相場の流れに追随するCTA(商品投資顧問)のロングポジション(買い持ち高)の縮小が影響している可能性があります。特に、TOPIXより日経225先物を選好するCTAは先物売りを続けており、日経平均をTOPIXで割ったNT倍率も低下しています。日経平均が32,500円まで回復しない限り、CTAの先物売りは続く可能性が高いと言えます。

一方、経済情勢に基づいて売買するマクロ系ヘッジファンドは現在、様子見の姿勢をとっているようです。マクロ勢は日本株投資において、中国の景気動向を重視する傾向がありますが、現状では中国の景気減速を十分に織り込んでいます。しかし、今週31日に公表される中国の製造業PMI(政府版)がさらに悪化する場合、マクロ勢が日本株ショート(売り持ち)に転じる可能性が高まるでしょう。

現状、中国関連銘柄の株価は、中国の景気減速を適切に反映していると考えられます。そのため、経済指標の結果によっては、株価が大きく上下する可能性があります。8月の製造業PMIに関して、市場のエコノミストは前月の49.3からほぼ変わらない49.1を予想しています。

なお、製造業PMIが公表された後の株価の動きは、市場予想との乖離が大きければ大きいほど、影響を受けやすい傾向が見られます。また、サプライズの方向に応じた順張りの投資戦略は、上振れ・下振れのいずれの場合も、製造業PMIの結果を確認した後でも十分に有効であることが確認されています。

(FINTOS!編集部)

要約編集元アナリストレポート「野村クオンツ・インサイト – 中国景気減速とマクロ勢の日本株ショート転換リスク(2023年8月28日配信)」(プレミアムプラン限定)

(注)画像はイメージ。

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