海外市場の振り返り

FRB(米連邦準備理事会)は事前予想通り政策金利を5.25-5.50%に据え置くことを決定しました。同時に公表された政策金利見通し分布図(ドットチャート)の中央値を見ると、2023年については19名中12名が0.25%ポイントの利上げ見通しを示し、予想通り年内中の追加利上げの選択肢を残しました。注目された2024年末の政策金利見通しは5.125%へ上方修正され、2024年中の利下げ幅は0.5%ポイントへ6月の1.0%ポイントから縮小されました。この結果、2024年の利下げ開始は早くても9月以降になる公算が高まったと言えます。これらの見通し変更は想定の範囲内とは言え、ややタカ派(インフレ抑制を優先)的な結果でした。政策決定を受けて、米国債市場では短期国債を中心に金利が上昇、米国株式市場ではハイテク関連を中心に主要3指数は揃って下落しました。

相場の注目点

市場では目立った景気減速なしにインフレが目標に向け低下し得るという、景気軟着陸シナリオへの期待が高まる一方で、堅調な景気は足元の原油高と相まって、長期金利上昇を通じて景気減速につながるとの懸念も根強く残存しています。当面の間は、インフレ鎮静化シナリオの進展に神経質な展開が継続することが予想されます。

また、昨日の為替相場はドル高が進展し、ドル円レートは148円36銭まで上昇しました(ブルームバーグ)。米国の政策金利の高止まりが長期化し、ドル高圧力が残存する可能性が一段と高まっています。為替介入の節目と見られる150円を前に、本邦政策当局の円安への対応の変化の有無が注目されます。

(投資情報部 尾畑 秀一)

(注)データは日本時間2023年9月21日午前7時半頃、QUICKより取得。ただしドル円相場の前日の数値は日銀公表値で、東京市場、取引時間ベース。CME日経平均先物は、直近限月。チャートは日次終値ベースですが、直近値は終値ではない場合があります。

※画像はイメージです。

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